予約サイトで事前決済した宿泊予約者への簡易インボイス交付

木下 洋子
2024.04.25

領収書や請求書以外の書類でもインボイスとなる
 国内旅行において、ホテルの公式サイトの他に宿泊予約サイトを利用する方が増えている。しかし宿泊サイトの利用を通じてホテル等の予約・事前決済がされた場合、ホテルのフロントでは現金の授受が行われないため、ホテル側から領収書が交付されないことがある。この場合のインボイス交付対応について、国税庁は4月8日改訂のインボイス制度に係る「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」において明示している。
【問】当社は、ホテルを運営しています。予約サイトを通じて受けた予約について、予約サイト経由で決済が行われた場合、フロントでは現金の授受等が行われないことから、領収書の交付を行っていませんが、どのようにインボイスを交付すればいいでしょうか。
【答】インボイスや簡易インボイスは、その名称を問わず、記載事項を満たしたものであれば、必ずしも領収書や請求書である必要はない。そのため、予約サイトや旅行代理店等(以下「予約サイト等」という)を通じて受けた予約で、かつ、予約サイト等を経由して決済が行われた場合には、領収書ではなく、宿泊明細書など適宜の様式により、以下の記載事項を満たした書類(簡易インボイス)を交付することが考えられる。
インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨)
課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率(※)
「税率ごとに区分した消費税額等」と「適用税率」を両方記載することも可能。
 上記記載事項のうち④の「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」は、本問におけるホテル運営者が課税売上げとして認識している金額となる。そのため、予約サイト等との間で手数料等が差し引かれて精算される場合であっても、当該手数料等差引前の金額となると考えられる。また、予約サイト等が宿泊代金に併せて予約手数料を宿泊客から徴収している場合や、値引き販売を行っている場合には、簡易インボイスに記載される金額(宿泊代金)が、宿泊客が実際に予約サイト等を通じて支払った代金の総額と異なることも考えられるが、消費税法上問題はない。
パックツアーの場合
 なお、予約サイト等が宿泊者の委託を受けてホテルの宿泊予約を行う場合(いわゆる手配旅行)と異なり、パックツアーなど、宿泊サービスを含めた一連の旅行サービスとして予約サイト等が提供する場合(いわゆる企画旅行)、通常、予約サイト等が宿泊客に対して課税資産の譲渡等を行ったものとなるので、当該予約サイト等が宿泊客に対して簡易インボイスを交付する必要がある(この場合、ホテル運営者は、予約サイト等に対してインボイスの交付義務が生じることとなる)。
出張旅費等特例の適用が受けられる場合
 社員の出張等に伴う宿泊費で、社員に支給するもののうち、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる(出張旅費等特例)ので、その場合には、ホテルを利用する側の事業者側において必ずしもホテルから簡易インボイスを受領する必要はない。
出典:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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