経営自己診断システムを使ってみよう

村田 直
2024.05.09

誰でも無料で使える経営分析ツール
 中小企業基盤整備機構がホームページ上で公開している、「経営自己診断システム」という経営分析ツールをご存じだろうか? 誰でも無料で使えるツールで、これからの3月決算後の財務分析などにも有効なので、今回はこれを紹介したい。

 経営自己診断システムとは、決算書の財務情報から強みや課題を確認する経営分析サポートツールである。本格的な財務視点からの経営分析を、決算書に記載された主な財務情報を入力するだけで簡単に可視化することができる。分析結果の用語解説もあり、専門知識がなくても経営分析が可能なシステムとなっている。

 会社情報や個人情報の登録が不要で、入力された財務情報の保存も行われないので、会社情報の漏えいの心配もなく、誰でも気軽に利用することができる。
金融機関も実際に利用している財務データベース
 このシステムは、経済産業省・中小企業庁の主導により、中小企業金融の円滑化を図る目的で開発された中小企業信用リスク情報データベース(略称CRD)に蓄積されている200万社以上の中小企業の財務データを用いて構築されている。財務データのうち7割は、年商3億円以下の比較的小規模な企業のデータとなっており、中小企業経営者の実感とも乖離しない、実用的なデータが使われている。

 実は、このCRDという財務データベースは、各種金融機関でも融資審査などの際に実際に使用されている。そのデータを使った経営分析が無料で行えるのだから、使わない手はないだろう。
決算書のデータを入力するだけで、5項目の経営分析と倒産リスク分析
 手順は、決算書を見ながら、自社の決算書の数値をシステム上に入力していくだけである。自社の財務情報を入力すると、CRDに蓄積された同業他社の財務データと比較することができる。各業種について数千社~数万社の同業他社データと比較して、業界内における自社の強みや課題を把握できるほか、収益性、効率性、生産性、安全性、成長性の5項目について経営状態を点検することができる。

 また、特に安全性指標を取り出して、同業種のデフォルト企業(倒産や借入金の延滞などにより債務不履行に陥った企業)と比較することで、倒産リスクについても点検することができるようになっている。

 もちろん、経営分析はそう簡単に行えるものではなく、経営分析の結果が全てではない。どのような分析も企業の一面を表しているに過ぎないとも言えるが、自社を客観的に見るきっかけになるだろう。利用したことのない企業には、一度使ってみることをお勧めする。
参考:
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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