3人のうち2人は、社員クチコミ見て「応募を辞めた」

庄司 英尚
2024.05.13

年代が若いほど「クチコミを見る」傾向あり
 総合求人情報サイト『エン転職』を運営するエン・ジャパン株式会社は、自社のサイトでユーザーを対象に「転職活動時のクチコミ閲覧」についてアンケートを実施し、4,513名から回答を得た。調査結果によると、半数が転職活動中に企業に関する社員クチコミを「見る」と回答。年代別では20代は40代以上より12ポイント高く、年代が若いほどクチコミを見る傾向があった。

 転職活動中に社員クチコミを見る方に、社員クチコミの影響で応募・選考・内定を辞退したことがあるかを伺ったところ(複数回答)、67%が「応募を辞めた」経験があると回答した(選考辞退16%、内定辞退6%)。これらの辞退者にどのような内容の社員クチコミが影響を与えたかを問うと、上位には「給与・賞与の不満」(48%)、「人手不足・人が辞める」(47%)、「従業員の士気の低さ・人間関係の悪さ」(47%)、「残業・休日出勤の多さ」(45%)、「上司によるハラスメントや心身への負担」(42%)といった回答が並んだ。実際に採用活動をしている企業側にとっては耳の痛い話であるが、社員クチコミの影響力を重視し、今後に向けて気になっているところは改善していきたいところだ。
クチコミを見るタイミングは9割が「応募前」
 企業に関する社員クチコミを「見る」と回答した方に、転職活動のどのタイミングで見るか伺ったところ(複数回答)、「応募前」がダントツに多く91%を占めた。ちなみに、応募後~一次面接前は30%、選考中~最終面接前は14%、内定承諾前は10%、内定承諾後は4%と割合が少ないことから、まずはクチコミをチェックしてから応募の判断を決める、言い換えればクチコミが悪ければ応募しない方が多いということなのだろう。

 応募前に見る方に理由などを伺ったところ、「応募する前に確認しないと、その後に確認して応募をキャンセルするのは失礼になるから」「必ずどこかのタイミングで見るようにしているが、時間に余裕があれば応募前に見ている」「応募前は総合点数で判断して、応募後は個別のクチコミ内容をしっかり読む」といったコメントがあり、応募者のほうが早い段階から企業を選別しており、無駄に応募せず、また企業に迷惑をかけないように配慮しているともいえる。
社員クチコミで不安になってもそれを企業には質問しない‥‥85%
 社員クチコミの影響で応募・選考・内定辞退と回答をした方に、不安を感じたり、詳細を知りたい社員クチコミの内容について企業に質問したか伺ったところ、85%が「いいえ」と回答している。その理由として「企業に質問したところで、上辺だけの回答しか得られないと思ったから」「本音で話してもらえないと思うから」「質問して不採用になるのが怖いから」といったコメントが寄せられている。円滑な採用活動のために、会社側は応募者の誤解を招かぬよう何でも質問できる雰囲気づくりが求められているといえる。

 社員クチコミの影響で応募・選考・内定辞退と回答をした方に、逆にどんな内容の社員クチコミがあれば選考に進みたいか伺ったところ、「給与・賞与への満足度が高い」(62%)、「定着率が高い」(60%)、「従業員の士気が高い・人間関係が良い」(56%)がトップ3となった。経営陣や人事部などの採用担当者は、自社に関して社員がどのようなクチコミを書いているのか把握したうえで、今後はクチコミを強く意識して、採用活動に積極的にクチコミを活用していくことも考えていきたいところである。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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