電気料金値上げ対策は、エアコン、冷蔵庫、照明から

飯田 道子
2024.06.10

 物価高騰に加え、電力各社への補助金がなくなる影響で、電気料金は6月使用分から一世帯あたり数百円値上がりする見通しです。生活コストは日に日にかさんでいくばかり。気象庁によると、今年の夏も全国的に気温が高くなり、猛暑日が増えると予想しています。エアコンの使用率がアップすれば、電気料金の値上げが家計を直撃することは火を見るよりも明らか。少しでも電気料金を抑えるためには、どのような点に注意すれば良いのか考えてみましょう。
家電製品の見直しと利用方法を検討する
 今や生活に家電製品は欠かせないものです。なかには大切に十数年以上にわたり同じ製品を使い続けている人もいるのではないでしょうか。

 資源エネルギー庁の省エネポータルサイトによれば、電気消費量の多くを占めているのは、夏・冬通してエアコン、冷蔵庫、照明であり、これらで5割以上を占めていることが分かります。つまり、これらの家電を節電することで、電気料金の上昇を抑えることができると考えられます。
出典:
資源エネルギー庁 省エネポータルサイト 家庭でできる省エネ 家電製品別の電力消費割合を知ろう!
 では、どのような点に注意すれば良いのか、省エネポータルサイトのデータを参考に確認していきましょう。
エアコンの温度設定を見直してみる
 エアコンは、冷やし過ぎず、室内温度を適切に保つことが大切です。室内温度を26℃~27℃に設定している人が多いのですが、今よりも1℃上げだけでも節約効果は生まれます。省エネポータルサイトのデータによると、外気温度31℃のとき、エアコン(2.2kW)の冷房設定温度を27℃から1℃上げて1日9時間使用した場合、年間で電気代が約940円の節約になります。

 また、フィルターをこまめに掃除することで電気料金の節約につながります。フィルターが目詰りしているエアコン(2.2kW)と月に1~2回フィルターを清掃した場合を比較すると、年間で約990円の節約になります。古いエアコンはエネルギー効率も悪くなるため、省エネタイプのエアコンに買い替えることを検討しても良いでしょう。

 また、エアコンの効果を高める方法として、レースのカーテンやすだれなどで窓から入る日差しをカットするのも効果的です。たとえば外出時は、昼間もカーテンを閉めると効果があります。エアコンに扇風機を併用すれば、風が身体にあたることで涼しさを感じられます。
冷蔵庫に詰め込み過ぎていませんか
 冷蔵庫の節電は、庫内の温度設定を「強」から「中」もしくは「弱」にし、消費電力を小さくすることです。また、庫内にモノを詰め込み過ぎない、何度も扉を開閉しない、開けている時間を短くすることも節電効果があります。その他、冷蔵庫の設置位置も節電に大きく影響しますので、室内のレイアウトも考慮する必要がありそうです。

 省エネポータルサイトのデータによると、設定温度を「強」から「中」にした場合(周囲温度22℃)、年間で約1,910円の節約になります。また、庫内に詰め込んだ場合と半分にした場合を比較すると、年間で約1,360円の節約になります。冷蔵庫の設置に関しての比較では、上と両側が壁に接している場合より片側が壁に接している場合のほうが、年間で約1,400円の節約になります。

 麦茶やカレーなどは冷ましてから冷蔵庫に入れる、食べ残した食品を冷蔵庫の奥に眠らせたままにしない、常温で保存できるものは冷蔵庫に入れないなども、節電につながります。

 照明については、点灯時間を短くする、従来の電球を蛍光ランプやLEDランプに取り換えることで節電になります。

 省エネポータルサイトのデータによると、54Wの白熱電球を年間2,000時間使用した場合、これを12Wの電球形蛍光ランプに交換すると年間で約2,600円の節約に、9Wの電球形LEDランプに交換すると年間で約2,790円の節約になります。

 節電や節約ばかりに気を取られてしまうと、生活そのものを楽しめなくなってしまいます。そこで、電気料金の値上げ対策で節約できたお金は、生活の潤い(例えばお花を飾るとか)に充ててみてはいかがでしょうか。
参照:
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)

 金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
 海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。

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