冷房機器から発生する火災事故の原因と防止のポイント

栗原 賢二
2024.06.20

 近年の平均気温上昇により、この夏も各地で厳しい暑さが予想されます。熱中症予防のためには無理なく冷房機器を使うことも大切ですが、経年劣化や不適切なメンテナンスにより発火してしまう可能性もあります。火災事故につながる主な原因と、防止するためのポイントを確認しましょう。
電源コードやエアコン洗浄液を原因とした火災も発生
 昼夜問わず過酷な暑さとなる時期は、家庭や店舗でエアコンがフル稼働する場面も珍しくありません。エアコンは今や生活に欠かせない存在ですが、以下のような原因で発火・火災などの事故となったケースが報告されています。
電源コードの不適切な改造や修理、誤った接続により異常発熱して発火
機器内部に小動物等が侵入、基板に接触することでショートして異常発熱
エアコン洗浄の洗浄液が機器内部に侵入して発煙、発火
 特に電源コードはねじり接続(むき出しの電線同士をねじり合わせて接続すること)や、消費電力に耐えられない延長コードの使用により発熱・発火のリスクが高まります。

 エアコンは電流の量が大きいためコードのDIY加工を極力避け、プラグを専用のコンセントに直接繋ぎましょう。定期的にプラグ接続部分のほこりを掃除し、使用しない期間はコンセントから抜いておくことも大切です。

 またエアコンの室外機に小さな虫などが入るケースも多いため、周囲に段ボールや植木鉢を置かずきれいな状態にすると良いでしょう。エアコン洗浄は購入店や修理窓口に相談のほか、市販の洗浄剤を使用する場合は取扱説明書をよく読んで、注意事項を守ることが事故防止のポイントです。
暑さが本格化する前に冷房機器の点検を
 電気料金の値上げが続く中、節電のために扇風機を使う方も多いと思われます。同じ扇風機を長年愛用したり、レトロなデザインの古い扇風機をあえて購入し使用するケースも少なくありませんが、経年劣化を原因として以下のような事故が報告されています。
内部配線が首振り機能などで繰り返し折り曲げられることで断線して発火
モーター部品の劣化でスパークが発生して発火
モーター用コンデンサーが徐々に絶縁劣化して、ショートすることで発火
 また扇風機が故障すると電源スイッチを入れても動かず、スイッチが切れていると錯覚し、そのままにしてしまうことも少なくありません。故障した状態で電流を流し続けると発火のリスクが高まるため、十分注意しましょう。

 発火を含む2018年度~2022年度の事故について、エアコンでは302件(うち死亡事故9件)、扇風機では71件報告されています。機器から「異常な音がする」「焦げくさい匂いがする」「本体や電源コードが異常に熱い」といった兆候が見られたら、直ちに使用を中止した方が良いでしょう。

 暑さが本格化すると修理や買い替えに時間がかかる傾向もあるので、冷房機器の点検は早めに行うことをおすすめします。
【参照】
(セールス手帖社 栗原賢二)

▲ PAGE TOP