えっ? 駐車場の車止めが変形! 保険は使えるの?

水谷 力
2024.06.24

2024年10月から複数の損害保険会社で火災保険の改定を予定
 最近の自然災害の激甚化や、それに伴う事故の増加、建築関係の資材費や労務費などの高騰に伴う保険金の増加などの影響により、10月1日から火災保険の改定を予定している保険会社が多いようです。具体的には、保険料の引上げ(引き下げとなるケースもあり)や水災の保険料率について「市区町村別」の料率体系を導入し、リスク実態に応じて5区分に細分化されるほか、新たな特約も新設されるようです。
保険の内容を知らないと請求しそびれるケースも
 ところで、保険の内容は、各保険会社で異なるケースも多く、また同じ保険会社であっても上記のように改定によって内容が変更されることがあるため、契約したタイミングによって内容が異なることも少なくありません。したがって、何か事故があったとき、自分が加入している保険が使えるか否かの判断に迷うケースや、そもそも保険が使えることに気が付かないケースも少なくないようです。
駐車場の車止めが変形したら・・・保険が使えるの?
 最近、知人が自宅の駐車場から久しぶりに車を出すために車止めのポールを地下に下げようとしたところ、ポールが道路側から内側に曲がっていることに気が付きました。しかも、曲がっているため、ポールを下げることができません。知人は駐車場から車を出すのに一苦労したようです。

 しかも、事態はそれで終わりではありません。ポールを修理しなければ、その後も駐車場への車の出し入れに困ります。とはいえ修理するにはそれなりの費用がかかるとのことで、知人は頭を抱えていました。

 実は、この数日前に付近では重機を使って道路工事が行われており、その時に重機等が接触して変形したのではないかと推測はできます。しかし、目撃者がいないため道路工事を行った会社等に損害賠償などの請求はしづらい状況です。

 「何か良い方法はないだろうか?」

 知人から相談を受けた私は、その知人の火災保険の証券を見せてもらいました。すると、幸いにも「門、塀、垣、車庫その他の付属建物」が対象に含まれており、「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突など」が補償の対象となっていることがわかりました。つまり、今回のポールの修理費用は保険金で補償されるということです。

 「こんな時にも火災保険が使えるの?」

 知人は半信半疑ながらも喜んでいました。
何かがあったときに相談できる募集人やFPが大切
 このように、保険が使えるのにそれに気が付かずに頭を抱えているケースは山のようにあります。そもそも保険が使えるのか、使えるとしてもどの保険で対応できるかわからない場合も多いようです。

 このような事態を避けるためには、保険の加入時に商品内容について、わかりやすく説明してくれたり、何かあったときに保険が使えるかどうか相談するために信頼できる募集人やFPが身近にいると心強いのではないでしょうか。
【参考情報】
生命保険の募集人の方は、上記のような損害保険の話から生命保険の話につなげることも可能です(詳しくは以下の書籍が参考になります)。火災保険の話題からのアプローチトークも収録されています(第2章第6話落雷で給湯器やエアコンが壊れた!「建物」じゃなくても火災保険の対象になるの?)。
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水谷 力(みずたに・ちから)
株式会社セールス手帖社保険FPS研究所
社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
組織開発コンサルタント

大手保険会社在職中にFP資格やコーチング資格等を取得。現在は各種執筆活動などをおこなっている。著書には、「違いを生み出すファーストアプローチ」「違いを生み出す生損保リスクチェック」(いずれもセールス手帖社保険FPS研究所)がある。

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