NISAの累計買付額、3月末時点で約41兆円に増加

浅野 宗玄
2024.07.01

NISA増加の背景に新NISA制度の開始
 金融庁が公表した「NISA口座の利用状況調査」結果によると、2024年3月末時点のNISAの累計買付額が昨年12月末時点から3ヵ月で17.4%増加の約41兆6,044億円になり、NISA口座数は8.7%増の約2,323万口座にのぼったことが明らかになった。

 この伸びの背景には、今年1月から始まった新NISA制度をきっかけに、預貯金を投資に振り向ける動きが広がってきたことがある。

 新制度は、制度を恒久化するとともに、運用益の非課税投資期間も無期限となった。NISAの年間の投資枠を、投資信託を毎月積み立てる「つみたて型」については改正前の40万円から3倍の120万円に、また、国内外の上場株に幅広く投資できる一般NISAの機能を引き継いだ「成長投資枠」は同120万円から2倍の240万円にそれぞれ拡大された。合計で年360万円の投資枠を設け、貯蓄から投資の流れを促す。
若い世代が目立つ「つみたて投資枠」
 金融庁によると、3月末時点の新NISAの買付額は、「成長投資枠」が約5兆1,355億円、「つみたて投資枠」が約1兆436億円の合計約6兆1,791億円だった。商品別の買付額の割合をみると、「投資信託」が56.7%を占めて最も高く、「上場株式」(40.2%)を上回った。また、年代別にみると、「50歳代」が20.5%で最も高く、「40歳代」が20.0%、「60歳代」が18.9%のほか、「30歳代」も16.0%と幅広い年齢層に買い付けられている。

 「成長投資枠」の商品買付額の割合をみると、「上場株式」が48.4%と「投資信託」(48.0%)をわずかに上回る。年代別では、「60歳代」(20.5%)、「50歳代」(20.4%)、「40歳代」(18.8%)「70歳代」(16.0%)の順。また、「つみたて投資枠」の商品買付額別では、「インデックス投信」が89.96%など投資信託がほとんどを占める。年代別では、「40歳代」(25.8%)、「30歳代」(25.7%)、「50歳代」(21.2%)、「20歳代」(12.1%)の順で比較的若い世代が目立つ。
参考:
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト

1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php

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