「キャッシュレス決済比率」国の目標に近づく

高橋 浩史
2024.07.04

 2024年7月3日から新紙幣の発行が始まる一方で、現金を使わないキャッシュレス決済の存在感が増しているようです。経済産業省の調査から見ていきましょう。
キャッシュレス決済比率は40%弱に
 経済産業省の2024年3月の発表によると、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%(126.7兆円)でした。内訳を見ると、クレジットカード83.5%(105.7兆円)、デビットカード2.9%(3.7兆円)、電子マネー5.1%(6.4兆円)、コード決済8.6%(10.9兆円)となっています。

 キャッシュレス決済比率は、「クレジットカード・デビットカード・電子マネー・コード決済」のそれぞれの支払額の合計を、「民間最終消費支出(内閣府『国民経済計算』<名目>)」で割って算出したものです。

 2013年のキャッシュレス決済比率は15.3%でしたから、この10年間でキャッシュレス決済が大きく伸びたことがわかります。スマートフォンの普及、フィンテックの貢献が背景にあることが推測されます。

 国はキャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げています。今回の発表を見る限り、目標に大きく近づいたと言えるでしょう。
普及の裏で犯罪には注意が必要
 キャッシュレス決済では、スマートフォンのアプリを利用する、いわゆる「スマホ決済」も一般的になりつつあります。スマホさえ持っていれば支払いが完結できるため、非常に便利な決済方法と言えます。

 しかし、便利な半面で、スマホ決済を狙った犯罪の猛威も高まっているようです。独立行政法人情報処理推進機構が2024年1月に公表した、「情報セキュリティ10大脅威2024」には、「スマホ決済の不正利用」や「クレジットカード情報の不正利用」が含まれています。

 スマホ決済事業者を装って、IDやパスワード、カード番号等を盗み取ろうとする「フィッシング詐欺」は、スマホ決済を狙った代表的な犯罪です。

 「メールやSMSで届く怪しいリンクは安易に開かない」「IDやパスワードを使い回さない」「リンク先のサイトが本物の事業者サイトかをよく確認する」などの基本的な防衛策を講じることが、あらためて重要になってきたと言えるでしょう。
参考:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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