児童手当はどう変わるの?-2024年10月からの変更点-

加藤 悠
2024.07.08

 2024年(令和6年)6月5日の参院本会議において、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、2024年10月から児童手当が拡充されることになりました。

 さて、そもそも児童手当とは、児童手当法を根拠として支給されるもので、児童手当法第1条で、
子ども・子育て支援法(中略)に規定する子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする。
と定めて発足した制度ですが、岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の目玉の1つとして今回改正に至っています。変更点について確認してみましょう。
出典:
所得制限の撤廃
 現行の制度では所得制限があるのですが、「すべての子どもの成長を支える観点」から撤廃すべきである、ということで撤廃されることとなりました。
支給対象の引き上げ
 現行の制度では15歳の年度末を迎えるまでの子ども(中学校卒業まで)が支給対象ですが、これを18歳の年度末を迎えるまでの子ども(高校生年代まで)に引き上げることとしました。
「18歳の年度末を迎えるまでの子ども」は、必ずしも高校に進学することを条件にはしていません。
第3子以降の子どもの取り扱い
 現行の制度では「3歳~小学校卒業までの第3子以降」には月額15,000円が支給されるのですが、改正後は、「支給対象となる子どもの第3子以降」に月額を30,000円が支給されることとし、対象年齢ならびに月額が改正されることとなりました。

 また、子どもの人数の数え方の定義も改まることとなり、現行は、「18歳の年度末を迎えるまでの子ども」をカウントするのですが、これが「22歳の年度末を迎えるまでの子ども」に改正されます。

 支給対象の子どもと混同して少しややこしいのですが、整理すると児童手当における「子ども(児童)」には、以下の2つがあり、
人数をカウントする際の「子ども」:18歳年度末→22歳年度末に改正
支給対象となる「子ども」:15歳年度末→18歳年度末に改正
今般の改正では、いずれも引き上げられます。
支給月
 現行の制度では、年3回(2月、6月、10月)の支給でしたが、改正後は年6回(偶数月)となります。なお、改正後の内容で支給される最初の月は2024年12月となります。
その財源は?
 改正後は、児童手当が拡充されるわけですが、その財源はどこから来るのでしょうか?政府は財源として「子ども・子育て支援金」を作り、「賃上げと歳出改革により、社会保障に係る国民負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築する」として、「実質的な負担は生じない」と説明していますが、支援金制度は公的医療保険の保険料に上乗せする形で拠出することとし、さらに、安定財源確保までの間に財源不足が生じないよう2028年度まで、つなぎとして「子ども・子育て支援特例公債」を発行する、としています。

 少子化対策が必要であることは論をまたないところですが、実質的な負担が増えるか否か?が強調されるような論調・ニュースが広がると、幅広い世代が連帯して少子化対策に取り組むべきだ、というマインドがしぼんでしまうおそれもあります。

 政府には丁寧な説明を求めたいですし、私たちも制度改正のしくみについて理解を深めておきたいところです。
参照:
(セールス手帖社 加藤 悠)

▲ PAGE TOP