埋蔵文化財包蔵地の評価

村田 直
2024.08.01

埋蔵文化財包蔵地の評価について、考え方を明確化
 国税庁から、令和6年7月5日に「土壌汚染地等の評価の考え方について」という情報が公表されている。その中で、土壌汚染地の評価と合わせて、埋蔵文化財包蔵地の評価方法について記載されているため、今回は後者についてご紹介したい。

 埋蔵文化財包蔵地の評価方法については、現状の課税実務上は、土壌汚染地の評価に準じて評価されているが、改めてその考え方が整理・明確化されている。

 具体的な評価方法については、国税不服審判所の裁決事例においてもその合理性が認められていることなどから、原価方式に基づいて評価する考え方が示されている。
埋蔵文化財包蔵地とは?
 埋蔵文化財包蔵地として評価する土地は、課税時期において埋蔵文化財を包蔵する土地とされている。埋蔵文化財を包蔵する可能性があるなどの潜在的な段階では、埋蔵文化財包蔵地として評価することはできない。

 また、評価対象地が周知の埋蔵文化財包蔵地に該当しない場合であっても、埋蔵文化財を包蔵する土地は、埋蔵文化財包蔵地の評価の適用がある。

 それは、以下の通り、周知の埋蔵文化財包蔵地と同様に発掘調査等を実施することもあるため、とされている。
(1)
周知の埋蔵文化財包蔵地以外から文化財が出土した場合にも、文化財保護法第96条の規定に基づく届出義務があり、文化財の重要度に応じて土地の所有者等に経済的負担が生ずる可能性がある。
(2)
地方公共団体の取扱いによっては、周知の埋蔵文化財包蔵地に隣接する場合や一定の敷地面積以上の開発が行われる場合にも、試掘調査や発掘調査を実施することがある。
埋蔵文化財包蔵地の評価方法
 結論としては、埋蔵文化財包蔵地の価額は、文化財がないものとした場合の価額から発掘調査費用に相当する金額を控除した金額によって評価する。
イ 文化財がないものとした場合の価額
 文化財がないものとした場合の価額=文化財がないものとして路線価等に基づき評価した価額
ロ 発掘調査費用に相当する金額
 発掘調査費用に相当する金額は、文化財がないものとした場合の価額が地価公示価格水準の8割程度とされていることとのバランスから、発掘調査費用の見積額の80%相当額とされる。
 なお、発掘調査費用の見積額は、課税時期において最も合理的と認められる措置に基づき算定するのが相当とされている。
 また、土地所有者において発掘調査費用の負担が生じない土地のほか、評価対象地が存する地域における標準的な土地の利用状況や発掘調査の実施状況等を踏まえ、発掘調査費用が生ずる蓋然性が低いと認められる土地については、発掘調査費用に相当する金額はないものとして取り扱われる。
参考:
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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