自動車保険参考純率改定「電動キックボード」料率区分新設へ

高橋 浩史
2024.08.01

 損害保険料率算出機構から、自動車保険の参考純率の改定が発表されました。その概要を見ていきましょう。
自動車保険の保険料は平均5.7%の値上げに
 今回の改定の概要は、以下の4点です。
1.
自動車保険の参考純率を平均で5.7%引き上げ
2.
料率区分ごとの較差(割増引率等)を見直し、新車割引については割引率を拡大
3.
今後の自動運転車の普及に対応するため「被害者救済費用特約」を新設
4.
「特定小型原動機付自転車」の区分を新設
 改定の背景としては、「車両の高性能化による修理費の高額化」「近年の急激な物価上昇による修理費の上昇」などの他に、「直近の保険統計におけるリスク実態を反映」「自動運転社会を見据えた補償の拡充」なども挙げられています。

 近年は、衝突回避など車の安全機能の高性能化などで、センサーやカメラの搭載も増え、さらに車の修理費や部品代の上昇、人件費の上昇といった複合的な要素が保険料改定につながっていると見られます。
電動キックボードに対応した料率区分を新設
 このところ、都心部を中心によく見かけるようになった電動キックボード(特定小型原動機付自転車)について、専用の料率区分が設定されることになりました。

 その理由として、一般的な原動機付自転車と比較して、大きさや速度制限が低く設定されており、リスク特性が異なるためとされています。

 その他では、料率区分ごとの割増引の見直しによって、新車割引について補償内容によって割引率が拡大されることや、自動運転車の事故で被保険者に法的責任がなくても、被害者の損害を補償する「被害者救済費用特約」の新設も盛り込まれています。

 一部の新聞報道によれば、参考純率の改定が保険料に反映されるのは、2026年以降になるとのこと。今後、車の電動化が進み、新たな技術の採用などがあれば、車に関するコストはさらに上昇する可能性もあります。自動車保険料の今後の推移については不透明な部分もありそうです。
参考:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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