職場のハラスメントの中で、カスハラ相談件数は減少より増加が上回る
2024.08.05
セクハラのみ相談件数は減少傾向を示す
厚生労働省は「職場のハラスメントに関する実態調査」(調査実施者:PwCコンサルティング合同会社)の報告書を今年5月に公表している。この調査は、企業におけるハラスメントの状況と対策、労働者の意識等把握のため前回の調査から3年ぶりに実施された。調査は、全国の従業員30人以上の企業・団体(有効回答数7,780件)及び全国の企業・団体に勤務する20~64歳の男女労働者(サンプル数8,000名)を対象に行われた。
企業・団体への調査をみると、過去3年間の各ハラスメント(パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、顧客等からの著しい迷惑行為、就活等セクハラ)の相談件数の推移について、セクハラ以外では「件数は変わらない」の回答が最も多く、セクハラのみ「減少している」が最も多かった(「件数の増減は分からない」を除く)。
注目すべきは、セクハラを除く4つのハラスメントのうち、顧客等からの著しい迷惑行為だけが「件数は減少している」より「件数が増加している」の回答のほうが上回っていた(残り3つのハラスメントは増加より減少の回答が多かった)。顧客等からの著しい迷惑行為の相談件数については、「変わらない」の23.6%に対し、「増加している」は23.2%とほぼ拮抗しており、「減少している」は11.4%しかなかった(残りは「件数の増減は分からない」41.7%)。
顧客や取引先からの暴力や悪質なクレーム等の著しい迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント)に対しては、自社としての考え方、対応方針を社内で統一してマニュアル等をできれば策定し、現場と共有しておくことが重要である。
企業・団体への調査をみると、過去3年間の各ハラスメント(パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、顧客等からの著しい迷惑行為、就活等セクハラ)の相談件数の推移について、セクハラ以外では「件数は変わらない」の回答が最も多く、セクハラのみ「減少している」が最も多かった(「件数の増減は分からない」を除く)。
注目すべきは、セクハラを除く4つのハラスメントのうち、顧客等からの著しい迷惑行為だけが「件数は減少している」より「件数が増加している」の回答のほうが上回っていた(残り3つのハラスメントは増加より減少の回答が多かった)。顧客等からの著しい迷惑行為の相談件数については、「変わらない」の23.6%に対し、「増加している」は23.2%とほぼ拮抗しており、「減少している」は11.4%しかなかった(残りは「件数の増減は分からない」41.7%)。
顧客や取引先からの暴力や悪質なクレーム等の著しい迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント)に対しては、自社としての考え方、対応方針を社内で統一してマニュアル等をできれば策定し、現場と共有しておくことが重要である。
予防・解決のための取組によって、職場のコミュニケーションが活性化
ハラスメントの種類を問わず、予防・解決のために実施している取組としては、「相談窓口の設置と周知」の割合が最も高く、次いで「ハラスメントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知・啓発」であった。前者は約7割以上の企業が、後者は約6割以上の企業が実施している。
ハラスメントの予防・解決のための取組を進めたことによる副次的効果としては、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる」の割合が最も高く、「会社への信頼感が高まる」が続いている。
ハラスメントの予防・解決のための取組を進めたことによる副次的効果としては、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる」の割合が最も高く、「会社への信頼感が高まる」が続いている。
課題は、「ハラスメントかどうかの判断が難しい」
取組実施企業におけるハラスメント予防・解決のための取組を進める上での課題は、「ハラスメントかどうかの判断が難しい」(59.6%)が最も高く、次に「管理職の意識が低い/理解不足」(23.8%)と「発生状況を把握することが困難」(23.8%)が続いている。
取組を実施している企業でも実際に苦労しているのは確かであり、やはりハラスメント担当部門は現場の声を大事にして、情報収集をするとともに外部の専門家や各省庁で発信している資料や最新情報などを有効活用していきたいところだ。
取組を実施している企業でも実際に苦労しているのは確かであり、やはりハラスメント担当部門は現場の声を大事にして、情報収集をするとともに外部の専門家や各省庁で発信している資料や最新情報などを有効活用していきたいところだ。
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
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社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/