外国人労働者の雇用、ハロワへの届出はお済みですか?

庄司 英尚
2024.08.26

外国人の雇入れ・離職の際は、ハローワークへの届出が必要
 厚生労働省は、外国人が在留資格の範囲内で能力を十分に発揮しながら適正に就労できるよう、事業主が守るべきルールや配慮事項をパンフレットにわかりやすくまとめて令和6年6月に公表した。

 外国人を雇用する事業主には、外国人労働者の雇入れと離職の際に氏名や在留資格等をハローワークに届け出ることが義務付けられているが、そもそもの基本的な雇用のルールをわかっていない事業主も多いのでこちらのパンフレットを参考にしたいところである。
外国人雇用における届出の対象は?
 外国人を雇用した際、届出の対象になるのは、日本の国籍を持たない、在留資格が「外交」「公用」以外の方だ(「特別永住者」の方は特別の法的地位を有しており対象外)。外国人雇用状況を届け出る際は、外国人労働者の在留カード、旅券(パスポート)または指定書などの提示を本人に求め、届出事項(氏名、在留資格等、在留期間等、生年月日、性別、国籍・地域、資格外活動許可または報酬活動許可の有無、在留カード番号)について確認が必要だ。

 雇い入れる外国人が雇用保険の対象になるか否かによって、使用する様式や届出の提出期限等が変わってくるので注意が必要だ。雇用保険の被保険者の対象となる外国人の場合、雇入れ時に雇用保険被保険者資格取得届(様式2号)に記載すべき欄が設けてあるのでそこに届出事項を記載して、雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワークに提出する。期限は雇い入れた日の翌月10日までとなっている。

 一方で雇用保険の被保険者の対象とならない外国人の場合、外国人雇用状況届出書(様式第3号)に必要事項を記載し、当該外国人が勤務する事業所(支店・店舗・工場など)を管轄するハローワークに提出する。期限は雇い入れた日の翌月末日までとなっている。なお、外国人雇用状況届出書(様式第3号)による届出は、ハローワークへ足を運ばなくてもインターネットで登録できるので、積極的に利用したい。
外国人労働者の雇用管理改善は事業主の努力義務である
 パンフレットの後半では、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」について解説している。主なものを挙げると、募集・採用時において国籍で差別せず公平な採用選考を行うこと。また日本国籍でないこと、外国人であることのみを理由に外国人が採用面接などに応募することを拒否するのは、適切ではないのでその点はよく理解しておきたい。

 また、労働関係法令及び社会保険関係法令は国籍に関わらず外国人労働者にも適用されることから事業主はこれを遵守しなければならないし、最低賃金の扱いについても日本人と同じであるることも覚えておきたい。さらに、外国人労働者の適切な人事管理、生活支援、苦情・相談体制の整備などについても事業主が対応に努めるよう求めている。

 このパンフレットには外国人労働者の雇用管理改善等に係る自主点検表への案内も記載されているので、これらも積極的に活用していきたいところである。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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