高齢運転者による交通事故をなくすために
2024.09.09
2024(令和6)年上半期における交通死亡事故の発生状況の概況
2024(令和6)年7月25日に警視庁交通局より「令和6年上半期における交通死亡事故の発生状況」が公表された。交通事故死者数の推移としては、死者数は1,182人で、前年同期比1人、0.1%増で、65歳以上の死者数は650人で、前年同期比4人、0.6%増とのことであった。
また、交通事故発生状況であるが、概況として主に以下のような内容でまとめられている。
また、交通事故発生状況であるが、概況として主に以下のような内容でまとめられている。
【歩行者】
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歩行中死者数は3年連続の増加となり、昼夜別でみると「夜間」が増加
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夜間は、65歳以上では「横断歩道以外横断中」が多い
【自転車】
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自転車乗用中死者数は減少傾向にある
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交差点の事故が多い
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携帯電話等使用自転車関連死亡・重傷事故は近年増加傾向にあり、前年同期比で約2.3倍に増加
【高齢運転者】
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75歳以上高齢運転者による死亡事故は減少
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75歳以上高齢運転者は「操作不適」が多く、ブレーキとアクセルの踏み違いは前年同期比で約2.9倍に増加
【飲酒運転・携帯電話等使用運転(自動車)】
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飲酒死亡事故は減少傾向にあるが、飲酒重傷事故は、近年はほぼ横ばいで推移
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携帯電話等使用事故は近年増加傾向
高齢運転者に着目してみると
75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数は161件(うち調査不能等が23件)であった。死亡事故件数161件の要因を見てみると、最も多いのが「操作不適(55件)」で、次いで「安全不確認(33件)」「内在的前方不注意(漫然運転等)(18件)」「外在的前方不注意(脇見等)(18件)」「判断の誤り(14件)」となっている。なお、「操作不適(55件)」の内訳として、「ブレーキとアクセルの踏み違い(23件)」が、前年同期比で約2.9倍増加した。
運転操作を誤るなど、おかしいなと感じてきたら自動車運転免許証の自主返納も
高齢運転者のハンドルの操作ミスやブレーキとアクセルの踏み違いによる事故は、最近ではよく聞く話である。自動車の運転にどんなに自信がある人でも、加齢とともに確実に身体能力は低下していく。若いころに比べて、視野が狭くなる、記憶力・判断力が低下する、筋力が衰える、反射神経が鈍くなるなど、誰もが避けては通れない。
自動車の運転に不安を感じたら、もしものことが起きる前に、「運転免許証の自主返納」について考えてみる必要がある。2023(令和5)年の運転免許証の自主返納(申請による運転免許の取消)件数は、70歳以上でみると345,621件、80歳以上でみれば170,738件となっている。
自動車の運転に不安を感じたら、もしものことが起きる前に、「運転免許証の自主返納」について考えてみる必要がある。2023(令和5)年の運転免許証の自主返納(申請による運転免許の取消)件数は、70歳以上でみると345,621件、80歳以上でみれば170,738件となっている。
運転免許証を自主返納した人への支援
特に地方では自動車を生活の足にしている人も多く、運転免許証を自主返納すると、自動車の運転ができなくなってしまうため、買い物や通院に支障を来すといった問題が起きる。そのような場合には、「運転経歴証明書」を提示することにより各自治体などから特典やサービス(タクシーやバスを割引運賃で利用できるなど)をうけることができる。
「運転経歴証明書」は申請すれば交付をうけることができ、公的な身分証明書としても使用できる。特典やサービスの具体的な内容は各自治体などで異なるため、詳細については該当先へ直接確認していただきたい。
高齢運転者による交通事故は年々増加傾向にあり、交通事故防止のために運転免許証を自主返納した人へのサポート体制は、今後ますます充実していくものと考えられる。
「運転経歴証明書」は申請すれば交付をうけることができ、公的な身分証明書としても使用できる。特典やサービスの具体的な内容は各自治体などで異なるため、詳細については該当先へ直接確認していただきたい。
高齢運転者による交通事故は年々増加傾向にあり、交通事故防止のために運転免許証を自主返納した人へのサポート体制は、今後ますます充実していくものと考えられる。
西海 重尚(にしうみ・しげひさ)
西海FP事務所 代表
CFP®認定者、1級 ファイナンシャル・プランニング技能士、公的保険アドバイザー、終活アドバイザーなどの資格を保有。
慶應義塾大学 経済学部卒。
33年間のサラリーマン生活において大手損害保険会社、生命保険会社、FP系出版社に勤務。
現在は独立系FPとなり、保険・年金・相続に強いアドバイザーとして活動中。
自己紹介用ホームページ https://fuku29390fpo.com
CFP®認定者、1級 ファイナンシャル・プランニング技能士、公的保険アドバイザー、終活アドバイザーなどの資格を保有。
慶應義塾大学 経済学部卒。
33年間のサラリーマン生活において大手損害保険会社、生命保険会社、FP系出版社に勤務。
現在は独立系FPとなり、保険・年金・相続に強いアドバイザーとして活動中。
自己紹介用ホームページ https://fuku29390fpo.com