中小企業省力化投資補助金（省力化投資補助金）は、令和6年6月25日に第1回公募がスタートした「新しい補助金」である。中小企業等の人手不足解消につながる、IoTやロボット等の「省力化製品」の導入費用の一部が補助される。

 省力化投資補助金の補助対象は、「製品カタログ」に登録された省力化製品である。このカタログから、自社の課題・業種・業務プロセスにあった製品を選び、販売事業者と共同で申請する。

 「カタログ型」の補助金であり、ものづくり補助金や事業再構築補助金などとは異なるため、わかりにくいと考える方もおられるようで、省力化投資補助金の特徴やポイントについて中小企業庁の担当者が説明されているので、ご紹介する。

 「製品カタログ」には、カテゴリごとに製品の対象となる業種や業務プロセス、省力化効果、活用のポイントなどが記載されている。また、省力化製品の導入によって、業務プロセスがどのように改善され、どのように省力化が図れるかが、フローチャートで説明されており、カタログ自体が「わかりやすい省力化の手引き」となっている。また、補助金申請に限らず省力化を検討している事業者の参考になるとのことである。

 今までの補助金、ものづくり補助金や事業再構築補助金と、省力化投資補助金との違いについては、3つの点から述べられている。

（1）補助金の目的

 ものづくり補助金は革新的なサービス開発や試作品の開発など、事業再構築補助金は新分野展開などを支援するための補助金であるが、省力化投資補助金は原則として「既存事業の省力化」のための補助金であることが大きく異なる。

（2）申請の難易度

 ものづくり補助金や事業再構築補助金の場合、申請にあたって10～15枚の事業計画書を作成し、導入設備の概要、業務プロセスの改善方法、事業効果などを根拠となる資料を使って記載する必要がある。一方の、省力化投資補助金の場合、カタログに登録されている省力化製品は、業務プロセスの改善方法、省力化効果、価格妥当性などが、すでに登録時の審査で検証されている。想定されている業種で想定されている使い方をすれば、投資効果に見合う省力化が実現できると認められているわけである。

 このように省力化効果が検証済なので、申請に必要な書類も簡便になっている。たとえば、事業計画書にも、申請フォームから、A4・1ページ分くらいの簡単なものを販売事業者と共同で作成すればOKで、事業者の負担が大幅に軽減されている。

（3）採択後の事業実施期間

 ものづくり補助金や事業再構築補助金の場合、採択後に相見積りや図面などの書類を提出してからの交付決定となるため、事業着手までに時間がかかってしまうケースも珍しくない。一方、省力化投資補助金は「採択＝交付決定」となるので、事業を迅速に実施できる。

 最後に販売事業者が製品の導入、補助金の申請・手続等をサポートするので、小規模企業・個人事業者も安心して利用できる。