産業競争力強化法改正、中堅企業者を定義

村田 直
2024.10.24

中堅企業者を新たに支援措置の対象に
 産業競争力強化法等の改正法が9月2日に施行され、新たに「中堅企業者」が定義された。「中堅企業者」は、税制や金融面において、一部の支援措置の対象となる。

 中堅企業は、大企業を超える国内売上・投資や給与総額等の伸びがあり、国内経済に大きく貢献しているにも関わらず、中小企業政策の対象外として、中小企業優遇税制の適用は受けられず、大手と同列の大企業と位置付けられ、中堅企業の課題に応じた措置が講じられてこなかった。

 今回の産業競争力強化法等の改正では、そういった中堅企業を対象に取り込み、これらの課題に対応することが意図されている。
中堅企業者とは?
 中堅企業者の要件は、常時使用する従業員(注1)の数が2,000人以下の会社及び個人(中小企業者を除く)とされている(注2)。
(注1)
常時使用する従業員とは、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を指す。
(注2)
ただし、以下のものを除く。
(1)
みなし大企業
(2)
風営法に基づく風俗営業又は性風俗関連特殊営業に該当する事業を営むもの
(3)
暴力団対策法に基づく暴力団員等が役員にいるものや、暴力団員等が事業活動を支配するもの
 さらに、国内投資・雇用者の所得の向上と国内産業の新陳代謝をより効果的・効率的に活性化させていくため、中堅企業者のうち、成長志向が強く、国内経済に貢献する高いポテンシャルを有するものとして、雇用、成長投資、経営力の3つの観点から「特定中堅企業者」を定義した。

 具体的には、以下の3つの要件とされている。
(1)
良質な雇用の創出
直近の事業年度において、以下のいずれも満たすこと(地域における良質な雇用を生み出す役割を重視)
(ア)
賃金(常時使用する従業員1人当たり給与等支給額)が業種別平均以上
(イ)
常時使用する従業員数の年平均成長率(3事業年度前比)が業種別平均以上
(2)
将来の成長性
直近3事業年度のうち、いずれかの事業年度が、中堅企業者の業種別平均以上の売上高成長投資比率であること(将来成長に向けた十分な成長投資を実行しているかどうかを重視)
成長投資は、(ア)設備投資額(有形固定資産投資) (イ)無形固定資産投資額 (ウ)研究開発費 (エ)教育訓練費のいずれか
(3)
十分な経営能力
更なる成長を目指した経営ビジョン(長期的に目指す姿、事業戦略、成果目標、経営管理体制)を策定・提出し、外部有識者で構成される評価委員会が十分な経営能力を有しているかどうかを確認
特定中堅企業者が事業計画の認定を受ける場合に確認(支援措置の活用において必須)
中堅企業者等への支援措置
 中堅企業者、特定中堅企業者には、以下のような支援措置が用意されている。
(1)
特定中堅企業者(中小企業者も可)が特別事業再編を行う場合(複数M&Aを行う計画認定スキーム)
中小企業事業再編投資損失準備金(損失準備金制度を拡充し、株式取得額の最大100%・10年間を積立可能)
日本政策金融公庫による金融支援
(2)
特定中堅企業者が事業再編を行う場合
知財管理に関するINPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館)の助言・助成
日本政策金融公庫による金融支援
(3)
その他
地域未来投資促進法に基づく承認を受けた特定中堅企業者向けに、設備投資減税を拡充(最大6%の税額控除)
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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