新年度にあらためて健康保険の「標準報酬」を解説

上田 有希子
2026.04.20

 4月といえば、新入社員が新たに仲間入りする季節。人事担当者にとっては社会保険の手続きが一気に増える時期であり、新入社員にとっても「はじめての健康保険・厚生年金保険」に触れるタイミングです。社会保険に向き合う機会が増えるこの時期に、改めて健康保険の保険料算定に使用する「標準報酬」について整理していきます。
標準報酬をもとに社会保険の保険料等を計算
 健康保険や厚生年金保険の保険料は、原則として従業員が会社から受け取る給与が基準となります。また、ボーナス(賞与)も保険料の対象であり、毎月の給与だけでなく、年間を通じて受け取る報酬全体をもとに保険料が決まる仕組みです(総報酬制)。そして、保険料を計算する際の基準となる金額が「標準報酬」です。

 この標準報酬は、産前産後休業中に支給される出産手当金や、将来の厚生年金額などにもつながっていきます。
標準報酬月額の等級と算定方法
 2026年3月24日現在、健康保険における標準報酬月額の等級は第1級(58,000円)から第50級(1,390,000円)に区分されています。この標準報酬月額は、従業員それぞれの「報酬月額」をもとに決まり、決定・改定のタイミングは大きく4つです。
1.
資格取得時決定(入社時)
入社した月の報酬をもとに最初の標準報酬を決定します。
2.
定時決定
毎年7月に、4~6月の報酬平均で見直す「年1回の更新」です。
3.
随時改定(いわゆる月額変更)
昇給・降給などで固定的賃金が大きく変わった場合、その変動月以後3か月の平均で標準報酬を再計算します。
4.
育児休業等終了時改定
育休から復帰した後の3か月の報酬をもとに、復帰後の実態に合わせて改定します。
保険料負担は労使で折半
 この報酬月額に基づき、健康保険料・介護保険料および厚生年金保険料が算定されます。保険料は従業員と企業が支払うことになっており、労使が折半するケースが一般的です。「会社が半分出してくれている」という点は、社会保険制度の大きな特徴のひとつです。

 標準報酬の仕組みを正しく理解することで、健康保険・厚生年金保険とこれまで以上にうまく付き合っていくことができるでしょう。
2026年4月から「子ども・子育て支援金」が追加
 なお、今年は保険料支払いに関して大きな変更があります。それが、「子ども・子育て支援金制度」です。

 この制度は、将来の社会を支える子どもや子ども世代を、現役世代全体で支えていこうという考え方に基づいています。具体的には、児童手当の拡充や、育児休業等給付、妊婦への支援など、子育て関連の施策を充実させるための財源を確保する仕組みです。

 支援金の額は、加入している医療保険制度(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度など)ごとに決められ、令和8年4月から医療保険料とあわせて拠出します。令和8年度の支援金の平均月額(推計)は、健康保険組合は約550円(一被保険者あたり)、国民健康保険は約300円(一世帯あたり)です。

 この支援金はすべて「子育て支援」のために使われます。標準報酬に影響を及ぼすものではありませんが、保険料負担に関わるため、あわせて理解しておきたいポイントです。
参照:
(セールス手帖社 上田 有希子)

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