フリーランス新法が施行されます

加藤 悠
2024.10.31

 来たる11月1日から、「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」が施行されます。

 近年は多様な働き方が選択できる時代になりつつあり、フリーランスもその1つの形態となっています。一方、フリーランスの増加に伴い、労働者とは異なり、従来の労働法上の保護が及ばないケースが問題視され、「フリーランスを守るための仕組み」が必要となってきました。この法律は、企業(発注事業者)とフリーランス(特定受託事業者)の間で交わされる業務委託取引に関して、フリーランスが不利にならないようにすることを目的としています。
フリーランス新法の概要
 簡単に概要を示すと、以下のようにフリーランスの方が保護されます。
企業には取引条件を、書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ、チャットツール等)で明示する義務が課せられます。「口約束はNG」ということです。
企業は、発注したものをフリーランスから受け取った日(受領日)から起算して60日以内のできるかぎり短い期限内で支払期日を定め、その日までに報酬を支払わなければなりません。期日にきちんと報酬が支払われることでフリーランスの生活を守る意図があります。
企業が委託契約を中途解除する場合には、事前通知が義務付けられます。これにより、フリーランスの突然の収入源喪失を避けられるようにしています。
企業には、フリーランスを保護するための禁止行為も規定されており、ハラスメント対策に関する体制整備義務なども課せられます。
 この法律により、フリーランスの働き方がより安定し、安心して企業と仕事ができるようになると期待されています。

 なお、ここでいうフリーランスとは業務委託取引、つまり企業との取引(B to B)が前提となります。個人で雑貨屋を開き、お客さまに商品を販売するといった「自ら商品やサービスを消費者に提供する場合(B to C)」などは対象外です。

 また、発注事業者には、「フリーランスに業務委託する事業者(業務委託事業者)」も含まれるため、たとえば、「フリーランスAさんがフリーランスBさんに業務委託を行う」場合には、Bさんを保護するためにAさんが上記のようなルールを順守しなければならないことになります。
フリーランスも労災保険の対象に
 さて、「フリーランス新法」によって、契約内容や報酬面では保護を受けることとなりましたが、「業務中のケガや病気」のリスクについてはどうでしょうか?実は、同じく11月1日から労災保険の「特別加入制度」の対象にフリーランスが加わることとなりました。

 「特別加入制度」とは、一人親方や中小企業の経営者といった「労働者ではないけれども業務上の災害リスクを持つ人々」に労災保険の適用を広げる仕組みです。この対象にフリーランスが加わることになりました。フリーランスの方も特別加入することにより、業務中のケガや病気に対して労災保険で保護されるようになります。

 このように「特定受託事業者」として活動するフリーランスの方は、「フリーランス新法」と労災保険の「特別加入制度」の2つの制度により、安心して業務を行える環境が整備され、働き方の多様化にも対応した保護の実現に大きな一歩が踏み出されることとなりました。

 お客さまがフリーランスの場合には、この2つの制度についてご案内してみてはいかがでしょうか。
参照:
(セールス手帖社 加藤 悠)

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