教育訓練給付金の拡充について

森田 和子
2024.11.14

 社会人が資格学校に通う時には、給付金を使えると聞いたことはありませんか。雇用保険に加入している人のスキルアップを支援する教育訓練給付金が、2024年10月から拡充され、以前よりも給付が増える場合があります。内容を確認していきましょう。
資格取得講座の費用が支援される教育訓練給付金
 教育訓練給付金は、資格取得講座などの教育訓練を受ける時に、費用の一部が支給される制度です。利用できるのは、雇用保険に3年以上(※1)加入している在職者や、加入していた離職者です。資格取得講座などの内容によって、以下の3つに分けられ、支給の対象や支給額などが異なります。
(1)一般教育訓練
 幅広い分野の講座が対象で、介護福祉士、医療事務検定試験、インテリアコーディネーター、簿記検定試験、ITパスポートなどがあります。支給額は、支払った入学料・受講料の20%(最大10万円)です。
(2)特定一般教育訓練
 速やかな再就職および早期のキャリア形成に資する講座が対象で、税理士、保育士、社会福祉士、宅地建物取引士資格試験、中型自動車第一種免許、情報処理技術者試験などがあります。支給額は、支払った入学料・受講料の40%(年間上限20万円)です。
(3)専門実践教育訓練
 中長期的なキャリア形成を支援する専門的・実践的なものが対象で、専門学校の看護学科・美容学科・保育科・調理師学科・自動車整備科、シスコ技術者認定など、また、専門職大学、専門職短期大学、専門職大学院などがあります。支給額は、支払った入学料・受講料について、受講中は50%(年間上限40万円)ですが、修了後1年以内に資格を取得し、就職をした場合は、追加で20%が支給されます。
 この度、支給額について拡充があり、2024年10月からは、特定一般教育訓練と専門実践教育訓練について、上記の支給に上乗せされる場合があります。
2024年10月からの変更点
 特定一般教育訓練については、今回の拡充により、修了後1年以内に資格取得・就職した場合には、従来の40%に10%が追加で支給されることになりました。合計では、支払った入学料・受講料の50%が給付されることになります。

 専門実践教育訓練については、従来の50%、修了後1年以内に資格取得・就職した場合には追加で20%ですが、今回の拡充により、資格取得・就職から1年以内の賃金が受講開始前と比較して5%以上上昇した場合は、さらに10%が追加で支給されることになりました。合計では、支払った入学料・受講料の80%が給付されることになります。

 費用の50%、80%が支援してもらえるのであれば、資格取得にチャレンジしてみたい人もいるのではないでしょうか。雇用保険に加入していた期間が不明で、教育訓練給付金を受給する資格があるかを確かめたい場合には、ハローワークに照会することができます。なお、すべての講座が対象ではなく、対象にならない講座もあることには注意が必要です。対象の講座は、厚生労働大臣の指定する施設・講座に限られ、教育訓練給付制度のホームページから検索できるようになっており、制度の詳細についても確認することができます。
※1:
当分の間、初めて支給を受ける場合は、一般教育訓練と特定一般教育訓練は1年以上、専門実践教育訓練は2年以上。
参考:
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

ライフプランシミュレーションとマイホーム・老後の資金計算
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