7割の企業、新卒採用等で価値観の変化を「感じることがある」

庄司 英尚
2024.11.25

働き手は、キャリアの自律に関心が高くなっている
 20代社会人・学生の転職・就職を支援するサービスの提供など転職・就職情報事業を展開する株式会社学情は、今年の8月30日から9月13日にかけて、企業・団体の人事担当者を対象にインターネットアンケートを用いて「就職における価値観の変化」について調査した。有効回答数661件であった。

 採用活動や新入社員の受け入れにおいて、これまでの世代との違いや価値観の変化について尋ねたところ「感じることがある」と回答した割合が28.6%に達した。「どちらかと言えば感じることがある」の39.6%を合わせると、約7割の企業担当者が価値観の変化を感じていることが明らかになった。

 また、実際に学生と接する企業担当者から、「自身が学んできたことや、保有している資格を活かしたいと考えている人が多い印象」、「『仕事を通して成長できるか』や『社会にどう貢献できるか』を重視していると感じる」、「研修内容やキャリアプランについて聞かれる機会が増えた」などの声が寄せられており、企業側もキャリアの自律に関心が高くなっている働き手を受け入れる際には、これまで以上に相当な努力が必要になってくるのではないだろうか。
キャリアの自律に対応し、人事制度等を変更(予定含む)企業は約6割
 価値観の変化や「キャリアの自律」への関心の高まりを受けて、新入社員の受け入れ方法や人事制度を「変更した」と回答した企業は14.6%。「変更はしていないが、変更を検討している」の43.9%を合わせると、約6割の企業が「キャリアの自律」への関心の高まりを受け、受け入れ方法や人事制度を変更した、または変更を予定していることが分かった。

 新入社員の受け入れ方法や人事制度について変更を実施・検討していることを尋ねたところ(複数回答)、「研修制度」が60.6%で最多。次いで「給与体系」の45.1%、「配属方法」の39.8%、「評価制度」の34.5%、「働き方に関する制度」の33.3%と続く。
転職を通してキャリアの実現を目指す人にも、企業は対応する必要あり
 新卒での就職を「ファーストキャリア」と表現する人も増え、転職を通して希望するキャリアの実現を目指す人も増加傾向にあり、企業担当者はこれから社会人になる学生がどのような価値観を持っているのかをよく理解したうえで、それらに合わせて企業側も採用戦略を練らなければならない時代になってきている。対応が遅れたり、社内改革が進まないと応募者が減少して採用も予定通り進まず、深刻な人手不足に陥り、経営にも影響が出てしまう可能性があることだけは最低限理解しておきたいところである。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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