同じ年に2か所以上退職手当等の支払いがあるとき

木下 洋子
2024.11.28

同じ年に複数の退職手当等が重なった場合の手続き
 役員または使用人に退職手当等を支払うとき、同じ年に既に他の会社などから退職手当等を支払われていることがある。また、一つの会社を退職するとき、会社のほかに企業年金基金などから退職手当等とみなす一時金が支払われることもある。このように他の支払者からその年中に支払済の退職手当等がある場合には、支払者は他の支払者が支払った退職手当等も含めて源泉徴収税額を計算しなければならない。

 また、退職手当等の支払を受ける者は、その支払を受ける時までに、支払者に対して「退職所得の受給に関する申告書」を提出する必要があるが、その年中に他の支払者から支払済の退職手当等がある場合には、申告書にその支払済の退職手当等の支払者の氏名(名称)、退職手当等の額、源泉徴収された税額、支払年月日および勤続年数などを記入し、その支払済の退職手当等の「退職所得の源泉徴収票」を添付して提出する必要がある。
退職手当等に対する源泉徴収税額の計算方法
 退職手当等の支払者が、その年中に他の支払者から支払済の退職手当等が記載された退職所得の受給に関する申告書の提出を受けた場合には、次のとおり源泉徴収税額の算出を行う。
1
支払済の他の退職手当等の額と今回の退職手当等の額を合計し退職所得の収入金額とする。
2
支払済の他の退職手当等の勤続期間と今回の退職手当等の勤続期間のうち最も長い勤続期間により勤続年数を算出する。ただし、その最も長い期間以外の期間のうちにその最も長い期間と重複していない期間がある場合は、その重複しない部分の期間を最も長い期間に加算して勤続年数を計算する。この勤続年数に1年に満たない端数があるときは、1年に切り上げる。
3
上記2の勤続年数を基にして退職所得控除額を算出する(本年分の退職手当等が前年以前に支払われた退職手当等の勤続期間を通算して計算されている場合や前年以前4年間に他の支払者から支払われた退職手当等がある場合を除く)。
4
上記1の退職所得の収入金額から上記3の退職所得控除額を控除した残額に2分の1を乗じて課税退職所得金額(1,000円未満切捨て)を算出する。
一の勤務先の退職により、年をまたいで2回退職手当等が支払われる場合
 次のように、一の勤務先を退職することによって2以上の退職手当等の支払を受ける権利を有することとなり、退職手当等が年を異にして支払われる場合には、2以上の退職手当等のうち、最初に退職手当等の支払を受けるべき日の属する年分の退職手当等とされる。
(1)
勤務先を退職することにより、その勤務先から退職手当等の支払を受けるほか、所法第31条各号に掲げる退職手当等とみなされる一時金(確定拠出年金法の規定に基づき老齢給付金として支給される一時金を除く)の支払者からもその一時金を受けることとなる場合
(2)
退職により退職手当等の支払を受けた人が、その後退職給与規程の改訂等により退職手当等の差額の支払を受けることとなる場合
 上記に掲げる場合であっても、(1)の一時金または(2)の差額の支給期がその支払を受ける人の死亡後に到来したときは、これらの一時金または差額については、最初に支払われたものの支給期の属する年分にはならないので、注意が必要である。
参考:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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