デジタル終活の必要性

西海 重尚
2024.12.16

デジタル終活とは
 デジタル終活とは、パソコンやスマートフォンに保存されている情報やデータを整理して、死後に、その存在が家族に伝わるように備えておくことである。

 国民生活センターによれば、亡くなった人のパソコンやスマートフォンなどの「デジタル遺品」について、パスワードなどに関する相談が増加しているという。最近では、70代や80代の高齢者もパソコンやスマートフォンでインターネットを利用している人も多い。

 銀行や証券会社との取引をインターネットで行っていた人が亡くなった場合、パスワードがわからないとロックを解除することができず、契約内容が不明のままとなってしまう。専門の業者に依頼すればロックを解除してもらうことは可能であるが、相当の費用がかかる。

 もしインターネットで取引をしていた銀行や証券会社に多くの金融資産があり、これを把握できていなかった場合には、相続上のトラブルを引き起こす可能性がある。また、友人や知人の連絡先をパソコンやスマートフォン内で管理していた場合、パスワードがわからないとロックを解除することができず、訃報を伝えることができない、ということも起こり得る。
デジタル終活の対象になるもの
 デジタル終活の対象になるものとして、次のようなものが考えられる。
インターネットバンキングやネット証券の金融機関名、ログイン情報 など
利用している有料サービスの名称、URL、ログイン情報、料金、解約方法 など
SNSアカウント
交友関係の連絡先
写真や動画
デジタル終活をやるべき理由とやらなかったときのリスク
 デジタル終活をやるべき理由としては3つ考えられる。
自分にもしものことがあっても、引き継いだ家族が困らないようにするため
量が膨大で把握しきれていない情報やデータの保存場所や内容を把握するため
他人に知られたくない情報やデータをしっかりと管理するため(プライバシー保護)
 逆に、デジタル終活をやらなかったときのリスクとしては4つ考えられる。
利用しているインターネットバンキングやネット証券にアクセスできないと資産内容がわからず、相続上のトラブルが発生してしまう
利用者が亡くなっても解約の連絡ができないので、有料サービスの利用料がいつまでも発生し続ける
パソコンやスマートフォン内に交友関係の連絡先を保存している場合、アクセスできないと訃報などの連絡ができない
死後に自分のプライバシーに関する情報が知れ渡ってしまう
デジタル終活は年齢に関係なく、すぐに始めるべき
 誰にでも死はいつか必ず訪れるが、それがいつになるのかわからない。

 パソコンやスマートフォンが頻繁に使用されている現代においては、目に見えないかたちで存在している情報やデータがたくさんある。自分にもしものことがあっても、家族が困らないように、必要なことをしっかりと伝えておかなければならない。

 また、他人に知られたくない情報はきちんと整理して、トラブルを引き起こさないように、きちんと管理しておく必要がある。
 デジタル終活は年齢に関係なく、すぐに始めるべきと言える。
参考:
西海 重尚(にしうみ・しげひさ)
西海FP事務所 代表
CFP®認定者、1級 ファイナンシャル・プランニング技能士、公的保険アドバイザー、終活アドバイザーなどの資格を保有。

慶應義塾大学 経済学部卒。
33年間のサラリーマン生活において大手損害保険会社、生命保険会社、FP系出版社に勤務。
現在は独立系FPとなり、保険・年金・相続に強いアドバイザーとして活動中。

自己紹介用ホームページ https://fuku29390fpo.com

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