子育て世帯等に対する住宅税制による支援策

木下 洋子
2025.01.16

 令和6年度税制改正においては、子育て世帯への支援強化の必要性や、現在の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ、住宅ローン減税制度の変更等がされた。令和6年分確定申告から適用される子育て世帯等への支援策についてご紹介する。
住宅ローン減税制度の借入限度額の維持
 令和6年入居の新築住宅および買取再販住宅の住宅ローン減税については、減税の対象となる住宅ローンの借入限度額が、原則として以下のように引き下げられている。
(1)
長期優良住宅と低炭素住宅……
4,500万円
(2)
ZEH水準省エネ住宅……………
3,500万円
(3)
省エネ基準適合住宅……………
3,000万円
 令和6年度税制改正により、借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯が令和6年に入居する場合には一定の上乗せ措置を講ずることで、令和4・5年入居の場合の水準(長期優良住宅と低炭素住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円)を維持することとした。

 適用対象となる子育て世帯・若者夫婦世帯とは、①19歳未満の子を有する世帯又は②夫婦のいずれかが40歳未満の世帯をいう。なお、①または②に該当するか否かについては、12月31日時点における現況とする。
新築住宅の床面積要件の維持
 新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和する措置について、建築確認の期限が令和6年12月31日(改正前:令和5年12月31日)に延長されている。

 合計所得金額が1,000万円以下であることが要件であり、この措置については子育て世帯・若者夫婦世帯に限り適用されるものではない。
既存住宅のリフォームに係る所得税の特例措置
 子育て世帯・若者夫婦世帯が子育てに対応した住宅へのリフォーム(注1)を行う場合に、標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%等(注2)を所得税から控除する(適用期間:令和6年4月1日から令和6年12月31日)。
(注1)
①住宅内における子どもの事故を防止するための工事、②対面式キッチンへの交換工事、③開口部の防犯性を高める工事、④収納設備を増設する工事、⑤開口部・界壁・床の防音性を高める工事、⑥間取り変更工事(一定のものに限る。)
(注2)
対象工事の限度額超過分及びその他増改築等工事についても一定の範囲まで5%の税額控除
 なお、上記の子育て世帯等の住宅ローン控除の拡充策や、新築住宅の床面積要件の緩和措置、リフォームにかかる特例措置は、令和7年度税制改正の大綱において令和7年にも実施する方針が決定されている。ただし、国会を通過するまでは最終決定ではない。詳細については、新制度が開始される4月以降に改めて確認して頂きたい。
出典:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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