障害年金~保険料納付要件~
2025.01.23
「障害年金」は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、受け取ることができる年金です。
前回(No.4780)は障害年金に大事な「初診日」についてお伝えしました。今回は障害年金を請求する際に必要な保険料納付要件についてご説明いたします。
前回(No.4780)は障害年金に大事な「初診日」についてお伝えしました。今回は障害年金を請求する際に必要な保険料納付要件についてご説明いたします。
そもそも保険料を納付していないと年金は受け取れない
障害年金の請求を検討する時に、まず、病気やケガで初めて医師または歯科医師の診療を受けた日である初診日がいつなのか確定させます。
初診日が分かったところで、次に保険料納付要件の有無を確認します。年金を受け取るには、そもそも保険料を納めてなければなりません。
具体的には、初診日の前日において、初診日がある月の前々月(2ヵ月前)までの被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが必要です。
なお、保険料の納付要件には「特例」があり、初診日が2026(令和8)年3月末日までの場合、次のすべての条件に該当すれば、納付要件を満たすとされています。
初診日が分かったところで、次に保険料納付要件の有無を確認します。年金を受け取るには、そもそも保険料を納めてなければなりません。
具体的には、初診日の前日において、初診日がある月の前々月(2ヵ月前)までの被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが必要です。
なお、保険料の納付要件には「特例」があり、初診日が2026(令和8)年3月末日までの場合、次のすべての条件に該当すれば、納付要件を満たすとされています。
・
初診日において65歳未満であること
・
初診日の前日において、初診日がある月の2ヵ月前までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
納付要件の検討は「特例」から
Aさんを事例に納付要件を考えてみましょう。
会社勤めをしている4月10日生まれのAさんが、30歳になった翌月の5月に病気をし、病院にかかったとします。会社に入社したのは23歳です。その前の20歳から22歳までの学生期間中は保険料を納めていませんでした。さらに、29歳の時に転職していますが、前職を離職後の1ヵ月は国民年金に加入しなければならないところ、次の会社が決まっていたため加入を怠っていました。
会社勤めをしている4月10日生まれのAさんが、30歳になった翌月の5月に病気をし、病院にかかったとします。会社に入社したのは23歳です。その前の20歳から22歳までの学生期間中は保険料を納めていませんでした。さらに、29歳の時に転職していますが、前職を離職後の1ヵ月は国民年金に加入しなければならないところ、次の会社が決まっていたため加入を怠っていました。
Aさんの初診日は30歳の5月です。初診日がある月の2ヵ月前(29歳の3月)までの直近1年間に未納がなければ特例の納付要件を満たしますが、Aさんは転職時に1ヵ月の未納期間がありました。
Aさんのように特例に該当しない人は、3分の2要件に該当するか調べます。Aさんの納付状況は以下の通りです。
Aさんのように特例に該当しない人は、3分の2要件に該当するか調べます。Aさんの納付状況は以下の通りです。
・
20歳の4月~22歳の3月:36ヵ月未納(学生納付特例の申請せず)
・
23歳の4月~28歳の3月:72ヵ月厚生年金に加入
・
29歳の4月~29歳の3月(初診日がある月の2ヵ月前):11ヵ月厚生年金に加入、転職時に1ヵ月未納
Aさんの初診日は厚生年金に加入中ですから、納付要件を満たすと障害年金の請求ができます。そのためには、20歳の4月~29歳の3月の期間(120ヵ月)の3分の2である80ヵ月の納付要件が必要です。Aさんは83ヵ月納付していました。Aさんはほっと一安心しました。
障害年金の請求では、初診日の証明が不可欠となります。障害年金は、障害の原因となる傷病が発生する前に、保険料を一定期間納付していることなどを支給要件としていることから、初診日を特定するために、初診日の証明書類が必要となります。
障害年金の請求では、初診日の証明が不可欠となります。障害年金は、障害の原因となる傷病が発生する前に、保険料を一定期間納付していることなどを支給要件としていることから、初診日を特定するために、初診日の証明書類が必要となります。
いざという時のために
Aさんのように、未納期間がある人は要注意です。また、国民年金に加入している人は、保険料の後出し(初診日後に納付するなど)は納付月数としてカウントできません。公的年金は20歳から加入が義務化されています。学生であれば学生納付特例の申請を忘れずに、いざという時の備えをすることをおすすめします。

三角 桂子(みすみ・けいこ)
社会保険労務士法人エニシアFP 代表社員
FP・社会保険労務士
大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルとあらゆる立場を経験し、FPと社会保険労務士として開業し、5年目に法人化(共同代表)。
FPと社会保険労務士の二刀流を強みに、法人・個人の労務、年金の相談業務やセミナー、執筆など、幅広く行っている。
常に自身の経験を活かし、丁寧な対応を心がけ、生涯現役に向かって邁進中。
法人名はご縁(えにし)に感謝(ありがとう)が由来。
公式サイト https://sr-enishiafp.com/
FP・社会保険労務士
大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルとあらゆる立場を経験し、FPと社会保険労務士として開業し、5年目に法人化(共同代表)。
FPと社会保険労務士の二刀流を強みに、法人・個人の労務、年金の相談業務やセミナー、執筆など、幅広く行っている。
常に自身の経験を活かし、丁寧な対応を心がけ、生涯現役に向かって邁進中。
法人名はご縁(えにし)に感謝(ありがとう)が由来。
公式サイト https://sr-enishiafp.com/