何歳まで働くか
2025.02.03
「生涯現役」ということば
「生涯現役の日」をご存知でしょうか。
民間企業・団体や学会の有志によって2018年7月に設立された「『生涯現役の日』制定・普及推進委員会」が定めた日で、10月1日です。
2019年10月1日に開催された「『生涯現役の日』交流フォーラム」には私も参加し、資産寿命をテーマにした分科会で議論したことを記憶しています。分科会は他に職業寿命(雇用)、職業寿命(就労)、社会活動寿命、健康寿命がありました。これを見ると、「生涯現役」と言っても、就労には限ったわけではなく、地域活動やボランティアなど幅広い“現役”の姿を想定していることがわかります。
民間企業・団体や学会の有志によって2018年7月に設立された「『生涯現役の日』制定・普及推進委員会」が定めた日で、10月1日です。
2019年10月1日に開催された「『生涯現役の日』交流フォーラム」には私も参加し、資産寿命をテーマにした分科会で議論したことを記憶しています。分科会は他に職業寿命(雇用)、職業寿命(就労)、社会活動寿命、健康寿命がありました。これを見ると、「生涯現役」と言っても、就労には限ったわけではなく、地域活動やボランティアなど幅広い“現役”の姿を想定していることがわかります。
65歳までの雇用が完全義務化
今年4月、65歳までの雇用が完全義務化されます。
ご承知のとおり60代前半の雇用については、以下のいずれかの措置を講じることが既に義務(努力義務ではなく)です(2013年 改正高年齢者雇用安定法)。
ご承知のとおり60代前半の雇用については、以下のいずれかの措置を講じることが既に義務(努力義務ではなく)です(2013年 改正高年齢者雇用安定法)。
①
65歳までの定年引上げ
②
65歳までの継続雇用制度(再雇用制度など)の導入
③
定年の廃止
ただし、2013年の時点で継続雇用の対象者を労使協定で限定していた企業には経過措置が適用されていて、老齢厚生年金の支給開始年齢引上げと歩調を合わせるかたちで、対象者の限定が可能な年齢が段階的に引き上げられてきたのです。しかし、その経過措置も2025年3月末をもって終了するので、「完全義務化」というわけです。
日々の生計のために定年後も働きたい
65歳までの雇用が確保され、公的年金は65歳から(繰上げ・繰下げ受給をすれば別ですが)ということで、制度の枠組み上は収入に隙間は生じないわけですが、はたして中身はどうでしょうか。
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、定年制を定めている企業は全企業の94.4%。そのうち72.3%が「60歳定年制」で、定年が65歳以上の企業は徐々に増えているものの、24.6%にすぎません。収入が大幅減となるケースが多い「再雇用」がまだまだ主流なのです。
昨年末、NHKからダイヤ高齢社会研究財団(ダイヤ財団)の調査結果を放送で使いたいという電話を受けました。カンニングの竹山さんが視聴者の身の上話を電話で聞くという番組で、60歳手前で仕事を辞めた男性との会話の後で、参考データとしてダイヤ財団の「定年後も働きたい理由」に関する調査結果が紹介されました。
下表(番組ではグラフ)のように「日々の生計維持のため」が圧倒的でした。住宅ローンや教育費にお金がかかっている人が多い50代後半の回答ということもあるでしょう。
番組では割愛されましたが、この調査では60代前半にも訊いていて、この年代になると「生活のハリ・生きがいを持つため」(男性38.7%、女性49.2%)や「社会とのつながりを持ちたいため」(17.7%、28.3%)、「健康のため」(10.2%、11.7%)が50代より増えています。それでも「日々の生計維持のため」(男性58.4%、女性57.5%)がトップである点は変わりませんが。
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、定年制を定めている企業は全企業の94.4%。そのうち72.3%が「60歳定年制」で、定年が65歳以上の企業は徐々に増えているものの、24.6%にすぎません。収入が大幅減となるケースが多い「再雇用」がまだまだ主流なのです。
昨年末、NHKからダイヤ高齢社会研究財団(ダイヤ財団)の調査結果を放送で使いたいという電話を受けました。カンニングの竹山さんが視聴者の身の上話を電話で聞くという番組で、60歳手前で仕事を辞めた男性との会話の後で、参考データとしてダイヤ財団の「定年後も働きたい理由」に関する調査結果が紹介されました。
下表(番組ではグラフ)のように「日々の生計維持のため」が圧倒的でした。住宅ローンや教育費にお金がかかっている人が多い50代後半の回答ということもあるでしょう。
番組では割愛されましたが、この調査では60代前半にも訊いていて、この年代になると「生活のハリ・生きがいを持つため」(男性38.7%、女性49.2%)や「社会とのつながりを持ちたいため」(17.7%、28.3%)、「健康のため」(10.2%、11.7%)が50代より増えています。それでも「日々の生計維持のため」(男性58.4%、女性57.5%)がトップである点は変わりませんが。
定年後も働きたい理由(55歳~59歳。複数回答) ※ 番組で紹介された部分
男性 | 女性 | |
日々の生計維持のため | 70.7% | 64.0% |
生活のハリ・生きがいを持つため | 37.8% | 42.3% |
より豊かな生活をするため | 27.0% | 26.8% |
社会とのつながりを持ちたいため | 14.8% | 18.6% |
健康のため | 6.4% | 8.8% |
自分の居場所を確保するため | 3.6% | 2.8% |
出所)
ダイヤ高齢社会研究財団「50代・60代の働き方に関する調査」(2018年)をもとに作成
収入のある仕事を何歳頃まで続けたいか
最後にダイヤ財団の調査結果をもう1つ簡単にご紹介します。
「収入のある仕事を何歳頃まで続けたいと思うか」という質問です。選択肢制ではなく数字で答えてもらいました。50代正社員の回答の平均は男女とも67歳台(男性50代前半:67.6歳、同後半:67.5歳、女性50代前半:67.7歳、同後半:67.9歳)。あまりに揃っていたので驚きました。皆さんご自身のお考えはいかがでしょうか。
「収入のある仕事を何歳頃まで続けたいと思うか」という質問です。選択肢制ではなく数字で答えてもらいました。50代正社員の回答の平均は男女とも67歳台(男性50代前半:67.6歳、同後半:67.5歳、女性50代前半:67.7歳、同後半:67.9歳)。あまりに揃っていたので驚きました。皆さんご自身のお考えはいかがでしょうか。

森 義博(もり・よしひろ)
公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 シニアアドバイザー
CFP®、1級FP技能士、1級DCプランナー、ジェロントロジー・マイスター
1958年横浜市生まれ。大学卒業後、国内大手生命保険会社入社、2001年から同グループの研究所で少子高齢化問題、公的年金制度、確定拠出年金、仕事と介護の両立問題などを研究。2015年ダイヤ高齢社会研究財団に出向し研究を継続。2024年4月から現職。
趣味はピアノ演奏と国内旅行(とくにローカル鉄道)。
CFP®、1級FP技能士、1級DCプランナー、ジェロントロジー・マイスター
1958年横浜市生まれ。大学卒業後、国内大手生命保険会社入社、2001年から同グループの研究所で少子高齢化問題、公的年金制度、確定拠出年金、仕事と介護の両立問題などを研究。2015年ダイヤ高齢社会研究財団に出向し研究を継続。2024年4月から現職。
趣味はピアノ演奏と国内旅行(とくにローカル鉄道)。