教育費は公立・私立のコース選択により増減

森田 和子
2025.02.13

 幼稚園から高等学校までの教育費の調査によると、進学先を公立・私立で分けたコースにより、前回調査から金額が増えているコースと減っているコースがあることがわかりました。内容を確認していきましょう。
「すべて私立」コースが大きく増加
 文部科学省の「子供の学習費調査」(※1)では、授業料や学用品などの「学校教育費」、「学校給食費」、学習塾や習い事、家庭教材費などの「学校外活動費」の3つを学習費として定期的に調査しています。
 幼稚園3歳~高等学校第3学年までの15年間の学習費総額を、進学先によるコース別に見ると以下になります。(カッコ内は前回調査((※2))からの増減額)
すべて公立‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥596万円(22万円増)
幼稚園だけ私立‥‥‥‥‥‥‥‥‥647万円(27万円増)
高等学校だけ私立‥‥‥‥‥‥‥‥725万円(10万円減)
幼稚園および高等学校が私立‥‥‥776万円(5万円減)
小学校だけ公立‥‥‥‥‥‥‥‥‥1,080万円(31万円増)
すべて私立‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1,976万円(138万円増)
 前回調査から金額が減っているのは、「高等学校だけ私立」の約10万円減、「幼稚園および高等学校が私立」の約5万円減ですが、15年間の合計額なので、それほど大きな減少とは言えません。その他のコースでは増えており、中でも「すべて私立」は大きく増加して138万円増となっています。

 公立学校と私立学校の学習費総額の差は、幼稚園では私立が公立の1.9倍、小学校では5.4倍、中学校では2.9倍、高等学校(全日制)では1.7倍となっています。私立に進学するのであれば、公立の倍以上の金額はかかるものと考えておいた方がよいでしょう。なお、最も金額が多い学年は、私立では小学校1年生の約220万円、公立では高等学校1年生の約70万円となっています。

 この調査からは、習い事と学習塾などの関係も見えてきます。低学年のうちは、ピアノやスイミングなどの「その他の学校外活動費」が、学習塾や通信教育などの「補助学習費」よりも多くなっていますが、公立は小学校6年生以降、私立は小学校4年生以降に割合が逆転します。小学校4~6年生になると、習い事よりも塾などにシフトしていく傾向のあることがわかります。
大学まで全て公立は839万円
 子どもの学習費調査の対象は、幼稚園から高等学校までですが、大学にかかる教育費も確認しておきましょう。大学4年間の学校納付金を試算すると(※3)、国立で約242万円、私立文系で約443万円、私立理系で約573万円となります。これらもあわせると、「幼稚園から大学まで全て公立(大学は国立)」では839万円、「幼稚園から大学まで全て私立(大学は私立理系)」では2,549万円となります。合計してみると大きな負担ですが、多くの場合、「高等学校までの学費は毎月の家計から出して、大学の学費は貯蓄で備えておく」ことでやりくりできます。高等学校、大学の無償化や給付型奨学金などの制度があり、今後も新しい制度が出てくるかもしれません。進学のタイミングなどで使える制度があるかをその都度調べるようにしましょう。
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森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

ライフプランシミュレーションとマイホーム・老後の資金計算
FPオフィス・モリタ https://fpofficemorita.com/
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