非正規社員にも昇給機会がある職場は半数にとどまる
2025.03.03
拠点数が多くなるほど昇給機会があることが明らかとなった
サービス業の潜在力を引き出す「ABILI」の開発・運営や経営コンサルティング事業を手掛けるClipLine株式会社は、「非正規社員のキャリアアップと昇給に関する調査」を、外食業・小売業を対象に、現場で働く非正規社員へのWebアンケートと、企業の本部管理職への電話調査の2つの方法で実施し、その調査結果を2024年7月に公表した。
現場で働く非正規社員に「あなたの職場では、昇給機会がありますか」と尋ねたところ、「昇給の機会がある」と回答したのは52%。企業規模(拠点数)と昇給機会の高さは明確な相関関係があり、100拠点以上ある職場では6割以上が「昇給の機会がある」と回答するなど、拠点数が多くなるほど昇給機会があるという回答率が高くなることがわかった。
現場で働く非正規社員に「あなたの職場では、昇給機会がありますか」と尋ねたところ、「昇給の機会がある」と回答したのは52%。企業規模(拠点数)と昇給機会の高さは明確な相関関係があり、100拠点以上ある職場では6割以上が「昇給の機会がある」と回答するなど、拠点数が多くなるほど昇給機会があるという回答率が高くなることがわかった。
昇給条件に基準がなく、「店長や上司の判断による」という回答が約5割
「昇給機会がある場合、どんな条件で昇給しますか」と尋ねたところ、昇給条件に一定の基準がなく、「店長や上司の判断による」という回答が5割弱(47%)を占めた。次に「契約更新の際に、業績や評価に基づいて昇給する」「一定期間が経過したとき」が続く。
半数の職場では、昇給条件が決まっていない、または決まっていても開示されていないか知る機会がないなど、どうすれば昇給するのかが不明なままで働いている非正規社員が多いと考えられる。その結果として定着率の低下、またモチベーションが上がらない原因になっている可能性もあるので、昇給についての明確な基準を設け、非正規社員にその情報を開示することは重要と思われる。
半数の職場では、昇給条件が決まっていない、または決まっていても開示されていないか知る機会がないなど、どうすれば昇給するのかが不明なままで働いている非正規社員が多いと考えられる。その結果として定着率の低下、またモチベーションが上がらない原因になっている可能性もあるので、昇給についての明確な基準を設け、非正規社員にその情報を開示することは重要と思われる。
企業の施策と従業員の期待には乖離がある
企業の本部管理職に、「現場スタッフの中で非正規社員が占める割合」を尋ねたところ、最も多かった回答(48%)は「76~100%」と回答。非正規社員が現場の労働力の中枢となっていることがあらためて確認できた。
非正規社員のキャリアアップ制度の有無、ある場合はその内容と目的を尋ねたところ、キャリアアップ制度を設けている企業は8割(82%)に達した。内容として最も多いのは「正社員登用」で5割を超える。実施形態は面談を通じての評価が最も多く、次いでスキルチェックやテストを実施するという回答があった。
制度の目的としては、「モチベーションアップ」と「優秀な人材の確保、定着率向上」がともに5割以上で拮抗している。実際のところ、7割(71%)が「非正規社員定着のための取り組みをしている」と回答しており、具体的には、時給や役職手当などの報酬面の充実(3割)をトップに、教育や研修、福利厚生が続く。
調査の総括として、7割の企業が人材定着を目的として昇給や福利厚生の充実、研修制度の強化に取り組むも、短期的な従業員のモチベーションは人間関係の良さや勤務シフト、アクセスの便利さなどが重視されており、企業の施策と従業員の期待にやや乖離が見られる点を指摘している。この調査結果が非正規社員のスキルアップや昇給機会の整備のための一助となることを筆者は願う。
非正規社員のキャリアアップ制度の有無、ある場合はその内容と目的を尋ねたところ、キャリアアップ制度を設けている企業は8割(82%)に達した。内容として最も多いのは「正社員登用」で5割を超える。実施形態は面談を通じての評価が最も多く、次いでスキルチェックやテストを実施するという回答があった。
制度の目的としては、「モチベーションアップ」と「優秀な人材の確保、定着率向上」がともに5割以上で拮抗している。実際のところ、7割(71%)が「非正規社員定着のための取り組みをしている」と回答しており、具体的には、時給や役職手当などの報酬面の充実(3割)をトップに、教育や研修、福利厚生が続く。
調査の総括として、7割の企業が人材定着を目的として昇給や福利厚生の充実、研修制度の強化に取り組むも、短期的な従業員のモチベーションは人間関係の良さや勤務シフト、アクセスの便利さなどが重視されており、企業の施策と従業員の期待にやや乖離が見られる点を指摘している。この調査結果が非正規社員のスキルアップや昇給機会の整備のための一助となることを筆者は願う。

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/