退職所得課税、改正の行方は?
2025.10.23
難航が予想される令和8年度税制改正
今年もそろそろ税制改正の議論が始まる時期となった。今年は、少数与党という不安定な政治状況の影響を受けることが予想され、どのような税制改正になるかを見通すのは難しいが、例年課題として挙げられている項目については、議題に上がる可能性があるため、把握はしておきたい。
今回は、改正が噂される常連項目の中から、退職所得を取り上げる。なお、紙面の都合上、税制の詳細な解説については割愛させて頂く。
与党の令和7年度税制改正大綱において、冒頭の「令和7年度税制改正の基本的考え方」の中で、以下のように明記されている。
今回は、改正が噂される常連項目の中から、退職所得を取り上げる。なお、紙面の都合上、税制の詳細な解説については割愛させて頂く。
与党の令和7年度税制改正大綱において、冒頭の「令和7年度税制改正の基本的考え方」の中で、以下のように明記されている。
退職所得課税については、勤続年数が20 年を超えると1年あたりの退職所得控除額が増加する仕組みが転職の増加等の働き方の多様化に対応していないといった指摘もある。
退職金や私的年金等のあり方は、個人の生活設計にも密接に関係すること等を十分に踏まえながら、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正かつ公平な税負担を確保できる包括的な見直しが求められる。
退職金や私的年金等のあり方は、個人の生活設計にも密接に関係すること等を十分に踏まえながら、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正かつ公平な税負担を確保できる包括的な見直しが求められる。
退職所得控除額の計算方法が時代にそぐわない、と具体的に指摘されており、タイミング次第でいつ改正になってもおかしくないと思われる。
退職所得についての改正履歴
退職所得の金額は、原則として、以下のように計算される。
退職所得の金額=(収入金額※1-退職所得控除額※2)×1/2
※1
源泉徴収される前の金額
※2
退職所得控除額の計算式
勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数
勤続年数が20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数
勤続年数が20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
退職所得については、退職所得控除、1/2課税、分離課税と優遇措置が3つも用意されている上、給与・賞与と違い、社会保険料もかからない。
これまでにも何回か、退職所得は税制改正の対象となっている。平成24年度税制改正では、特定役員退職手当等(役員等勤続年数が5年以下である人※3が支払いを受ける退職手当等)については、上記計算式の1/2課税の適用はないこととされた。
これまでにも何回か、退職所得は税制改正の対象となっている。平成24年度税制改正では、特定役員退職手当等(役員等勤続年数が5年以下である人※3が支払いを受ける退職手当等)については、上記計算式の1/2課税の適用はないこととされた。
※3
ここでいう「役員等」には、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事等の他に、国会議員および地方公共団体議会の議員、国家公務員および地方公務員も含まれる。
令和3年度税制改正では、役員等以外の者についても勤続年数5年以下の場合には、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額のうち300万円を超える部分については、1/2課税の適用はないこととされた。
令和7年度税制改正では、DC(確定拠出年金)の一時金受取時の退職所得控除における、いわゆる「5年ルール※4」が10年に延長された(令和8年1月1日以後より)。
令和7年度税制改正では、DC(確定拠出年金)の一時金受取時の退職所得控除における、いわゆる「5年ルール※4」が10年に延長された(令和8年1月1日以後より)。
※4
先にDCの一時金をもらい、次に会社から退職一時金をもらった場合、その間が「前年以前4年以内」(5年ルール)であると、重複する期間に応じて退職所得控除額が削減される。その間がそれ以上空いていれば、DCの一時金も会社からの退職金も別々の退職所得となり、退職所得控除は調整されることなく満額利用できる。
これらの改正をおさらいしながら、税制改正議論を注視していきたい。

村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
http://sogyo5.money-c.com/
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
http://sogyo5.money-c.com/

マネーコンシェルジュ税理士法人がお届けする無料オリジナルマガジン
『あんしん相続通信』
保険営業マンの皆さんへ
・
お客様への情報提供ツールとして、ご利用ください(コピー配布可)。
・
右下の申込書の最下段に、ご自身のお名前をご記入の上、お客様にお渡しください。
・
もし、そのお客様から生命保険のご相談があった場合には、
必ずご紹介させていただきます。
必ずご紹介させていただきます。
ご希望の方は、下記申込書にご記入の上、06-6450-6991までFAXください。
https://www.fps-net.com/topics/pdf/application_form.pdf
https://www.fps-net.com/topics/pdf/application_form.pdf