令和8年度税制改正の行方
2025.10.23
税制改正の流れ
令和8年度の税制改正の行方が気になる時期になりました。今回は、税制改正の流れをおさらいしたうえで、令和8年度税制改正の今後の動きについて少し考えたいと思います。
税制改正の流れは次のとおりです。毎年、8月末に各省庁から「税制改正要望」が提出され、与党税制調査会で次年度の具体的な税制改正事項が審議されます。そこで取りまとめられた「与党税制改正大綱」を踏まえ、「税制改正の大綱」が内閣に提出されます。そして、閣議決定された「税制改正の大綱」に沿って、国税の改正法案については財務省、地方税の改正法案については総務省が作成し、国会に提出。通常は3月中に成立します。
税制改正の流れは次のとおりです。毎年、8月末に各省庁から「税制改正要望」が提出され、与党税制調査会で次年度の具体的な税制改正事項が審議されます。そこで取りまとめられた「与党税制改正大綱」を踏まえ、「税制改正の大綱」が内閣に提出されます。そして、閣議決定された「税制改正の大綱」に沿って、国税の改正法案については財務省、地方税の改正法案については総務省が作成し、国会に提出。通常は3月中に成立します。
令和8年度税制改正要望
財務省のホームページでは、各省庁から提出された要望を確認することができます。今回は、金融庁の要望をいくつか検証してみます。
なお、これらの要望は、今後の議論の土台となるものです。令和8年度税制改正において、すべてが新設・拡充されるわけではありません。
なお、これらの要望は、今後の議論の土台となるものです。令和8年度税制改正において、すべてが新設・拡充されるわけではありません。
(1)NISA対象商品の拡充を含む制度の充実
➀子ども支援の一環として、つみたて投資枠における対象年齢等の見直し
②様々な資産運用ニーズに応えるため、対象商品の拡充等
③投資商品を入替しやすくするため、非課税保有限度額の当年中の復活
政府は2022年11月に決定した「資産所得倍増プラン」において、2027年末のNISA総口座数を3,400万(2025年3月末:約2,647万)に増加させる目標を掲げています。➀が実現すれば、親が子どもの将来に向けて資産形成を始める環境が整います。また、③は保有している商品を売却した場合に、同年中に非課税枠を再利用することができるものです。実現すれば、商品の入れ替えがしやすくなります。
②様々な資産運用ニーズに応えるため、対象商品の拡充等
③投資商品を入替しやすくするため、非課税保有限度額の当年中の復活
政府は2022年11月に決定した「資産所得倍増プラン」において、2027年末のNISA総口座数を3,400万(2025年3月末:約2,647万)に増加させる目標を掲げています。➀が実現すれば、親が子どもの将来に向けて資産形成を始める環境が整います。また、③は保有している商品を売却した場合に、同年中に非課税枠を再利用することができるものです。実現すれば、商品の入れ替えがしやすくなります。
(2)暗号資産取引に係る課税の見直し
令和7年度税制改正大綱において、「暗号資産取引に係る課税については、一定の暗号資産を広く国民の資産形成に資する金融商品として業法の中で位置づけ、上場株式等をはじめとした課税の特例が設けられている他の金融商品と同等の投資家保護のための説明義務や適合性等の規制などの必要な法整備をするとともに、取引業者等による取引内容の税務当局への報告義務の整備等をすることを前提に、その見直しを検討する」と明記されました。今回の税制改正要望では、「暗号資産ETFの組成を可能とするための検討を、税制面を含めて行う必要」があるとしています。
有価証券取引等から生じる所得は一律20.315%の分離課税(NISA口座は非課税)が適用される一方、ビットコインのような暗号資産取引から生じる所得は雑所得として総合課税の対象となります。
現在、日本では暗号資産ETFは承認されていませんが、近い将来、新たに暗号資産を証券口座内で取引できれば、ポートフォリオの分散効果の一助となるかもしれません。また、仮に変額保険の特別勘定のラインナップとして、暗号資産ETFを選択することができるようになった場合、生命保険募集人には「暗号資産とは何か」「どのような場合に値上がりする傾向にあるのか」といった新たなリテラシーが求められるようになります。
有価証券取引等から生じる所得は一律20.315%の分離課税(NISA口座は非課税)が適用される一方、ビットコインのような暗号資産取引から生じる所得は雑所得として総合課税の対象となります。
現在、日本では暗号資産ETFは承認されていませんが、近い将来、新たに暗号資産を証券口座内で取引できれば、ポートフォリオの分散効果の一助となるかもしれません。また、仮に変額保険の特別勘定のラインナップとして、暗号資産ETFを選択することができるようになった場合、生命保険募集人には「暗号資産とは何か」「どのような場合に値上がりする傾向にあるのか」といった新たなリテラシーが求められるようになります。
今後の税制改正の動き
昨年は、12月20日の与党税制改正大綱の決定以後、基礎控除と給与所得控除の最低保障額の各10万円の引き上げに追加して「基礎控除の特例」を創設した修正案が策定され、日本維新の会が賛成に回ることで衆議院を通過しました。
政権の枠組みや与野党協議の不透明さが続くなか、最終的にどのような税制が実現するのか、来年の3月まで動向を注視する必要があります。
政権の枠組みや与野党協議の不透明さが続くなか、最終的にどのような税制が実現するのか、来年の3月まで動向を注視する必要があります。