中小企業投資促進税制の繰越税額控除

村田 直
2025.04.03

中小企業投資促進税制とは?
 中小企業が法人税の申告時に適用できる税額控除の規定はいくつかあるが、繰越税額控除制度のあるものとないものに分かれる。

 賃上げ促進税制については、令和6年4月1日以降開始事業年度から、税額控除の5年間の繰越しが新たに可能になっているが、従来から繰越しができるものとして有名な税制に、中小企業投資促進税制がある。

 この制度は、青色申告書を提出する中小企業者(適用除外事業者または通算制度における適用除外事業者に該当するものを除く)などが、新品の機械装置などの取得または製作をして、国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却または税額控除を認めるものである。

 特別償却限度額は基準取得価額の30%相当額、税額控除限度額は基準取得価額の7%相当額となっている。中小企業経営強化税制のように、事前手続きが必要なく、申告時の作業で適用が受けられるのも特徴の1つである。
適用対象資産
 適用対象となっているのは、以下の資産である。
1
機械および装置で1台または1基の取得価額が160万円以上のもの
2
製品の品質管理の向上等に資する測定工具および検査工具で、1台または1基の取得価額が120万円以上のもの
3
上記2に準ずるものとして測定工具および検査工具の取得価額の合計額が120万円以上であるもの(1台または1基の取得価額が30万円未満であるものを除く)
4
ソフトウェア(複写して販売するための原本、開発研究用のものまたはサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除く、以下同じ)で次に掲げるいずれかのもの
(1)
一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの
(2)
その事業年度において事業の用に供したソフトウェアの取得価額の合計額が70万円以上のもの
5
車両および運搬具のうち一定の普通自動車(注1)で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの
6
内航海運業の用に供される船舶(注2)
(注1)
普通自動車とは、道路運送車両法施行規則別表第一に規定するものであり、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一で判定することはできない。
(注2)
総トン数500トン以上の船舶は、環境への負荷の低減に資する設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出た船舶に限られる。
 ただし、注意点としては、内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人以外の法人が貸付けの用に供する資産は、対象外となる。

 また、令和5年度税制改正で、コインランドリー業(主要な事業であるものを除く)の用に供するもので、その管理のおおむね全部を他の者に委託するものは対象から除外されている。
税額控除適用時は、資本金に注意
 中小企業投資促進税制の税額控除制度については、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額について1年間の繰越しが認められている。

 ただし、一定の中小企業者のうち資本金の額もしくは出資金の額が3,000万円を超える法人は、特別償却の適用は受けられるが、税額控除の適用は受けられないため、注意して頂きたい。
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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