先輩に学ぶ高齢期の働き方への備え

森田 和子
2025.12.11

 以前と比べて元気な高齢者が増えているように感じます。調査結果でも、60代以上で収入を伴う仕事をしている人は42.7%です。これには70代、80代も含まれており、働く高齢者が珍しくない時代になったといえるでしょう。内閣府が高齢者の経済生活に関する調査を行っていますが、その内容からは、現役世代が将来の仕事に備えるヒントが見えてきます。
先輩たちの「かつての働き方」とは
 60歳以上を対象にしたこの調査では、「50代のころの働く様子」について尋ねています。複数回答の上位は以下になります。
1.
働きぶりは、会社や同僚から高く評価されていた(36.2%)
2.
経験を積んだ仕事で力を発揮していた(35.5%)
3.
同じ仕事を続けるつもりでいた(33.7%)
4.
リタイア後のことは全く考えていなかった(22.6%)
5.
知り合いはほぼ仕事関連の人たちだった(22.6%)
 2の「経験を積んだ仕事で力を発揮していた」とした人が行った、他の質問への回答に注目してみましょう。「現在も収入を伴う仕事をしている主な理由」として「自分の知識・能力を生かせるから」の回答が多くなっています。また、「仕事に役立てることなど目的として行う学習・自己啓発・訓練」では、「パソコンなどの情報処理」や「人文・社会・自然科学(歴史・経済・数学・生物など)」と答えた人も多くなっています。さらに、収入を伴う仕事をしている主な理由として「自分の知識・能力を生かせるから」とした人は、「現在の経済的な暮らし向き」について、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と回答した人が多くなっています。ある業務について知識と経験を積み、それを生かして高齢期も働くことにより、経済的にも安定した生活を送る人がいることが見えてきます。
学び直しの支援も
 変化が速く大きい時代なので、国も教育訓練給付金などの制度により、学び直しであるリスキリングを支援しています。このような制度を上手に使って知識を蓄え、キャリアアップや、場合によってはキャリアチェンジをして経験を積むことで、高齢期も自分が思い描く働き方を実現させていきたいものです。
参考:
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

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