7割の職場、服装になにかしらの決まりあり

庄司 英尚
2025.12.15

希望する職場の服装は「自由」が4割
 職場での服装と言えばかつてはスーツが当たり前だったが、最近は従業員の多様性や個性の尊重が認められるようになり、以前に比べ服装選びが自由になりつつある。とはいえ、職場においてどこまで服装を自由にしていいのか判断に迷われる経営者もいるだろう。「識学」を使った経営・組織コンサルティングや従業員向け研修を展開する株式会社識学が“職場の服装”に関する調査(2024年2月14日公表)をしているので、その一部をここに紹介しよう。
識学とは「意識構造学」という学問からとった造語で、人間の意識構造のロジックのこと。
 20~50代の会社員(職場で制服やフルリモートではない方対象)に、職場の服装について聞いたところ、スーツやオフィスカジュアルなど、服装についてなんらかの決まりがあると回答した割合は70.3%であった。その一方で、職場の服装についての希望は、トップが「自由」(41.7%)、次いで「オフィスカジュアル」(39.0%)という結果となった。
相手に望むのは「スーツではない服装」が3分の2
 相手の服装についての許容範囲についても調査をしており、オフィスワークで働く人の服装や見た目について「あなたがどこまで許容できるのか」と聞いたところ、「スーツではない服装」は66.0%で最多、次いで「オフィスカジュアルではない服装」が41.7%となった。

 しかし、あまりカジュアルなものは好まれないようで、「半袖Tシャツ(無地)」は35.3%、「スニーカー」は33.0%、「半袖Tシャツ(柄有り)」は25.0%、「カジュアルブーツ」は23.7%、「パーカー」は21.7%、「派手な色の服装」は8.7%、「ミニスカート」は8.0%、「短パン」は7.0%というように、カジュアルになればなるほどその服装を許容できなくなる傾向が見えた。

 働く人の見た目として許容できるものについては、過半数に達したのは「茶髪」(55.0%)のみで、「結婚指輪以外の指輪」は35.7%、「派手なネイル」は21.0%、「茶以外のカラーリング」は19.3%、「金髪」は16.0%というように、職場でのおしゃれに対する他者の視線はまだまだ厳しいということは理解しておきたい。

 相手が接客業の場合では見た目の許容度は少し変わるのかが気になるところであるが、前出のオフィスワークでの見た目と比較して接客業の方の見た目で許容度が上がったのは、「金髪」「茶以外のカラーリング」「男性のメイク」「おしゃれ用の色付きメガネ」の4項目だけで、接客業だからと言って許容できる範囲が拡大することはなく、むしろ許容度が下がる傾向にあるという結果となった。
重要なのは企業側の明確なルール設定である
 転職するとした場合、職場の服装は影響するのかどうか聞いたところ、「重視する」は45.7%(非常に重視する8.0%と重視する37.7%の合計)となった。転職が当たり前の時代においては、会社側としては中途採用する際には職場の服装のルールについても説明して納得してもらっておかないと入社後にトラブルになるかもしれないので注意したい。

 株式会社識学は調査のまとめとして以下のように述べている。
《重要なのは企業側の明確なルール設定でしょう。オフィスカジュアルとは言ってもどこまでが許容範囲なのか、常識の範囲内といってもどこまでが常識内なのか、従業員任せの曖昧にするのではなく明確にルール設定を定めることで、どんな格好であろうとも働く人たちの“ひっかかり”をなくし、誰もが気持ちよく働ける環境となるでしょう。また服装についてのルール設定が多くの企業で広まることで、相手の服装に対する目線もより寛大になっていくのではないでしょうか。》
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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