奨学金の代理返還制度を利用して若手人材を確保!

木下 洋子
2025.04.17

企業等の奨学金返還支援制度利用とは
 企業等の奨学金返還支援制度(以下「代理返還制度」とする)とは、独立行政法人日本学生支援機構の貸与奨学金を受けていた従業員(奨学金返還者)に対し、企業等が返還残額の一部または全額を支援する制度で、その支援した額(返還金)は従業員の代わりに企業等が日本学生支援機構へ直接送金する。

 将来、各企業等の担い手となる奨学金返還者を応援するための取組みとして、日本学生支援機構が一定の条件下で「企業等から日本学生支援機構へ直接、返還額の送金」を受け付けている。日本学生支援機構によると、全国で2,587社が代理返還制度を利用しているとのこと(令和6年10月末時点)。

 人材不足が深刻化し、若手人材の確保や離職防止が大きな課題となっている昨今、代理返還制度が課題解決の新たな一手として注目されている。
人材確保についてのメリット
 人材確保における代理返還制度のメリットとしては、まず、この制度は若手へのアピール力が高く、売り手市場における採用競争の中で他社と差別化でき、有利になる可能性が高くなることが挙げられる。

 また、制度の導入は近年増加している早期離職を防ぎ、長期雇用につながることはもちろん、従業員の帰属意識を高める効果も期待できる。

 さらに、制度導入は企業のイメージアップにもつながる。当該制度を活用することで企業等価値が高まるとともに、社会的なプロモーションや企業等のアピール材料としても期待できる。
税制上のメリット
1.所得税
 企業等が直接、日本学生支援機構に送金することで従業員自身の通常の給与と返還金が区分され、かつ奨学金の返還であることが明確となるため、その返還額に係る所得税は非課税となり得る。ただし、奨学金返還者が役員や役員と特別の関係にあるものである場合など、一定の場合には、所得税の課税対象となることがあるので、注意が必要である。
2.法人税
 企業等にとっては、代理返還は従業員の奨学金の返済に充てるための給付にあたるので、給与として損金算入される。また、「賃上げ促進税制」の対象となる給与等の支給額にも該当することから、一定の要件を満たす場合には、法人税の税額控除の適用を受けることができる。これにより、従業員へ直接支給する場合に比べ税制上の優遇を受けられる。
3.社会保険料
 代理返還制度による返還金は、原則として標準報酬月額の算定のもととなる報酬に含めない。ただし、給与規程等により給与に代えて奨学金返還を行う場合は、報酬に含まれる。

 若手人材確保に悩む企業、奨学金の返済に苦しむ学生や若手従業員の双方にメリットのある代理返還制度。企業は人材に対する先行投資として、活用を検討されてはいかがだろうか。
参考:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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