老齢年金の受給は原則65歳から

三角 桂子
2025.04.17

 老齢年金は、国民年金部分である老齢基礎年金と、厚生年金保険部分である老齢厚生年金に分かれています。2025年4月2日以降に受給開始年齢を迎える1961(昭和36)年4月2日以降生まれの男性は受給が一律65歳からになります。
特別支給の老齢厚生年金とは
 厚生年金保険の受給開始年齢は60歳から65歳に段階的に引き上げられています。この受給開始年齢をスムーズに引き上げるために設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」の制度です。そのうち、定額部分は2001年度から2013年度にかけて、報酬比例部分は2013年度から2025年度にかけて段階的に引き上げられています。(女性の引き上げスケジュールは5年遅れ、後述)。

 65歳前の特別支給の老齢厚生年金を受給できる方は次の要件を満たしていることが必要です。
男性の場合、1961(昭和36)年4月1日以前に生まれたこと。
女性の場合、1966(昭和41)年4月1日以前に生まれたこと。
老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。
厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
生年月日に応じた受給開始年齢に達していること。
 上記のように、厚生年金保険または共済組合等の加入期間が1年以上あれば、65歳になるまでの間「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができます。女性の方で共済組合等の加入者については、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢は男性と同じ時期になります。
年金の受け取りは65歳から
 国民年金部分である老齢基礎年金は65歳からの受給開始でしたが、かつての老齢厚生年金の受給開始年齢は、男性が60歳、女性が55歳の時代がありました。当時の雇用状況が考慮され、女性の受給開始年齢が5歳低く設定されていました。

 その流れを受けたこともあり、女性の特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢の引き上げは5年遅れとなっており、2018年度から2030年度にかけて引き上げられますが(報酬比例部分)、男性の特別支給の老齢厚生年金は、2025年4月2日をもってその役割を終えました。なお、受給開始年齢を引き上げる際、65歳から支給される老齢厚生年金を60歳から繰上げ受給できる制度が導入されました。ただし、生涯減額された受給額になること、老齢基礎年金も同時に繰上げしなければいけないなど、デメリットもあるため制度をよく理解することが大切です。
まとめ
 長い年月をかけて引き上げられてきた特別支給の老齢厚生年金の役目が終わりを迎えると、年金の受け取りは原則65歳からになります。人生100年時代とすると、年金受給期間は35年という長いものになります。働き方が多様化する中、「いつから受け取るべきか」というタイミングを見計らうことが必要になるでしょう。
参考:
三角 桂子(みすみ・けいこ)
社会保険労務士法人エニシアFP 代表社員
FP・社会保険労務士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルとあらゆる立場を経験し、FPと社会保険労務士として開業し、5年目に法人化(共同代表)。
FPと社会保険労務士の二刀流を強みに、法人・個人の労務、年金の相談業務やセミナー、執筆など、幅広く行っている。
常に自身の経験を活かし、丁寧な対応を心がけ、生涯現役に向かって邁進中。
法人名はご縁(えにし)に感謝(ありがとう)が由来。

公式サイト https://sr-enishiafp.com/

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