DVから逃げたときの経済支援について

森田 和子
2025.05.08

 家庭の中で暴力を振るわれていて、そこから逃げたいと思っても、なかなか行動に移せないと言われています。身の危険を感じるような状況であれば、まず逃げる、警察に通報することが必要ですが、考える時間があるならば、専門の機関に相談してみましょう。経済的な不安があっても、DV被害者が利用できる制度があります。
DVとは
 DVはドメスティック・バイオレンスの略で、明確な定義はありませんが「配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力」の意味でよく使用されています。怒鳴るやののしるなどの精神的な暴力や、生活費を渡さないなどの経済的な暴力も含まれます。妻が夫から暴力を振るわれるだけでなく、夫が妻からのケースもあります。家庭内で起きるので潜在化しやすく、加害者の罪の意識が薄いことから、エスカレートして被害が深刻化しやすい特性があるとされています。自分が被害者であることに気付きにくく、また気が付いても誰かに相談しにくいという傾向があるようです。しかし、DVが起きている家庭では、子どもに対する暴力が同時に行われていることがあります。親子の身の安全を確保するためにも、そこから逃げることを考えなければならない場合があります。
24時間相談できるDV相談プラス
 DVの防止と被害者の保護を目的とした「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」が、2001年には施行されていましたが、2024年には、その一部が改正され、被害者への接近禁止命令を出す対象が拡大し、接近禁止命令などへの違反の厳罰化などが定められています。また、2020年からは、内閣府による「DV相談+(プラス)」がスタートしています。DV相談プラスでは、24時間、365日、専門の相談員が電話やチャット、メールでも相談を受けています。相談員が必要だと判断した場合は、面接、同行支援などの直接支援、安全な居場所の提供を実施しています。
DV被害者が利用できる経済的支援
 生活に困ったときには、公的な貸付制度を利用できる場合があります。「生活福祉資金」は、低所得や高齢者などが生活に困ったときに一時的な資金の貸付を行う制度ですが、DV被害者の人も利用できる場合があります。子供を養育している人であれば、「児童手当」のほかに、「児童扶養手当」も受給できる場合があります。また、経済的に自立が難しい場合などには「生活保護」の制度もあり、配偶者に知られずに利用できる方法もあります。どの制度からいくらの支援が受けられるかは、その人の所得や置かれている状況により異なります。DV相談プラスや自治体のDV相談支援センターなどの専門家と相談しながら手続きしてください。精神的にも経済的にも一人で抱え込まないことが大切です。
参考:
電話での相談(フリーダイヤル)
0120-279-889(つなぐ はやく)
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

ライフプランシミュレーションとマイホーム・老後の資金計算
FPオフィス・モリタ https://fpofficemorita.com/
教育費・住宅ローン・老後のお金 マネーのブログ
おかねネット https://okane-net.com/

▲ PAGE TOP