退職所得の源泉徴収票等、従業員分も提出必要に

木下 洋子
2025.05.15

従業員分も税務署、市区町村の提出対象に
 退職手当等の支払者は、退職手当等を支払ったすべての受給者(居住者)について「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票(以下「退職所得の源泉徴収票等」とする)を作成し交付しなければならない。そして現行制度においては、法人がその役員に対して退職金等を支払う場合には、退職所得の源泉徴収票等を税務署と市区町村へ、それぞれ提出する必要がある。

 令和7年度税制改正においては、退職手当等の支払いを受ける全ての居住者に係る退職所得の源泉徴収票を、税務署と市区町村へ提出しなければならないこととなった。すなわち、退職手当等の支払者は、役員・従業員の区分にかかわらず、すべての受給者に係る退職所得の源泉徴収票等を3部発行し、受給者、税務署、市区町村にそれぞれ発行することとなる。

 上記の改正は、令和8年1月1日以後に提出すべき退職所得の源泉徴収票等について適用される。
退職所得の源泉徴収票等の提出手続き
 上記の「提出範囲」に該当する退職所得の源泉徴収票等は、退職後1か月以内に支払者の所轄税務署および支払った年の1月1日現在の受給者の住所地の市区町村にそれぞれ1枚ずつ提出しなければならない。税務署へ提出するものは、その年中に退職した受給者分を取りまとめて翌年の1月31日までに提出しても差し支えない。

 なお、退職所得の源泉徴収票等は、上記提出範囲にかかわらず、退職後1か月以内にすべての受給者に交付しなければならない。

 また、令和7年度税制改正においては、退職手当等(老齢一時金(確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金をいう。以下同じ。)を除く。)の支払を受ける年の前年以前9年内に老齢一時金の支払を受けている場合には、当該老齢一時金等について、退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の特例の対象とした。さらに老齢一時金に係る退職所得の受給に関する申告書の保存期間を10年(現行:7年)とする改正が行われた。この改正は、令和8年1月1日以後に老齢一時金の支払を受けている場合であって、同日以後に支払を受けるべき退職手当等について適用される。

 課税の公平の観点より、退職所得等に対する課税について厳しい目が向けられている。今後の動向について注意されたい。
参照:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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