療養費(立替払)制度をご存じですか?
2025.05.26
事業主が資格取得届の手続き中で保険証を提示できないとき
健康保険(75歳未満)では、マイナ保険証によって診療を受ける「現物給付」が原則となっており、保険証等を提示することで一部負担金の支払いのみで療養の給付を受けることができる。
マイナ保険証や資格確認書等で医療機関等を受診した場合、窓口での一部負担金の割合は3割(年齢により2割)になる。しかし、
マイナ保険証や資格確認書等で医療機関等を受診した場合、窓口での一部負担金の割合は3割(年齢により2割)になる。しかし、
(1)
やむを得ない事情でマイナ保険証や資格確認書等を医療機関に提示できず自費で受診した場合
(2)
他の保険者の資格で受診したため医療費の返還を行った場合
等の場合には、協会けんぽ(健康保険組合)等に療養費支給申請書(立替払)を申請することで、療養費として払い戻しを受けることができる。
たとえば、事業主が資格取得届の手続き中のため、保険診療が受けられなかったときに自費でいったん全額(10割)支払うのは一番代表的なケースといえるだろう。事業主も従業員から問い合わせを受けた際には丁寧に教えてあげたいので、今回は協会けんぽのケースを取り上げ、注意点も含めて簡単にまとめておくこととする。
療養費を申請するケースは、大別すると2つある
実際に申請するには、健康保険療養費支給申請書(立替払)に必要事項を記載して、添付書類を下表のとおり用意することになる。ケースによって添付書類が異なる点に注意したい。
◇申請方法◇
ケース | 医療費を全額自己負担した場合 | 国民健康保険など他の保険者の資格で 受診したため医療費の返還を行った場合 |
添付書類 |
●
診療明細書の原本
診療内容を記載した明細書 ●
領収書(領収明細書)の原本
診療に要した費用を証明した領収書 |
●
診療報酬明細書
医療費を返還した保険者(国民健康保険等)から交付を受けた診療報酬明細書 ●
領収書の原本
医療費を返還した保険者(国民健康保険等)から交付された領収書 |
提出期限 | 医療機関等に医療費等を支払った日の翌日から2年以内 | 診療を受けた日の翌日から2年以内 |
海外療養費制度とは申請用紙が違う
やむを得ない事情のため保険診療が受けられない医療機関で診察や手当を受けたとき、例えば旅行中、すぐに手当を受けなければならない急病やけがとなったが、近くに保険医療機関がなかったので、やむを得ず保険医療機関となっていない病院で受診(全額自己負担)したときなどが該当するが、あくまで「やむを得ない理由」が認められなければ支給はされない。
領収書は原本を申請書に添付して提出することになるが一度申請した領収書等は返却されないので、もし自治体等の医療費助成を受ける予定がある場合は、領収書等のコピーを取るまたは原本の提出の要否について事前に自治体等へ確認しておく必要がある。
やむを得ない事情でマイナ保険証や資格確認書等を医療機関に提示できず自費で受診した場合、申請することで一部負担金3割(年齢により2割)を差し引いた金額が支給されるのであって、支払った全額(10割)が戻ってくるわけではないことは理解しておきたい。
最後に、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やけがなどにより、やむを得ず現地の医療機関で診療等を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを受けることができるが、こちらは海外療養費制度となっており、申請書も添付書類も異なるので注意したい。
領収書は原本を申請書に添付して提出することになるが一度申請した領収書等は返却されないので、もし自治体等の医療費助成を受ける予定がある場合は、領収書等のコピーを取るまたは原本の提出の要否について事前に自治体等へ確認しておく必要がある。
やむを得ない事情でマイナ保険証や資格確認書等を医療機関に提示できず自費で受診した場合、申請することで一部負担金3割(年齢により2割)を差し引いた金額が支給されるのであって、支払った全額(10割)が戻ってくるわけではないことは理解しておきたい。
最後に、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やけがなどにより、やむを得ず現地の医療機関で診療等を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを受けることができるが、こちらは海外療養費制度となっており、申請書も添付書類も異なるので注意したい。

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/