関税の影響等を受けた場合の納税猶予

村田 直
2025.05.29

要件に該当すれば、原則1年間は納税猶予が認められる
 アメリカのトランプ政権が関税を大幅に引き上げたことにより、大きな影響を受けている中小企業もあると思われる。中には、国税を一時に納付することができないといったケースも考えられる。

 そんな場合に知っておきたいのが、国税の納税猶予制度である。次の要件のすべてに該当するときは、税務署に申請することにより、原則として1年以内の期間に限り、猶予が認められる。
【要件】申請による換価の猶予(国税徴収法第151条の2)
(1)
国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。
(2)
納税について誠実な意思を有すると認められること。
(3)
猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと。
(4)
納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること。
 適用を受けるためには、原則として猶予を受けようとする金額に相当する担保が必要となるが、担保提供により事業の継続等に著しい支障を来すおそれがある場合には、担保は不要とされている。

 猶予が認められると、原則、1年以内の期間に限り納税が猶予され、猶予期間中の延滞税が軽減されるほか、財産の差押えや換価(売却)が猶予される。猶予期間は、状況に応じて延長が認められる場合もある(当初の猶予期間と合わせて最長2年)。

 なお、既に滞納がある場合や納期限から6か月を超える場合であっても、税務署長の職権による換価の猶予(国税徴収法第151条)が受けられる場合もある。
個別に猶予が認められる場合もあり
 また、個別に以下のようなケースに該当する場合は、それぞれ記載した金額について、国税通則法第46条による納税の猶予が認められることがあるため、別途、所轄の税務署(徴収担当)に相談頂きたい。
(ケース1)事業を廃止し、又は休止した場合
 納税者が営む事業について、やむを得ず休廃業をした場合、国税を一時に納付できない額のうち、休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額
(ケース2)事業に著しい損失を受けた場合
 納税者が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた場合、国税を一時に納付できない額のうち、受けた損失額の一部に相当する金額
(ケース3)市場の悪化、親会社からの発注の減少等により売上の著しい減少を受けた場合
 納税者の方が営む事業について、市場の悪化等の事情により、売上の著しい減少を受けた場合、国税を一時に納付できない額のうち、その減少した売上に見合う売上総利益に相当する金額
 こちらの場合も、猶予が認められると、原則1年最長2年の納税猶予、猶予期間中の延滞税の軽減、財産の差押えや換価(売却)が猶予される。
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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