役員の社宅利用が給与課税されないための注意点

木下 洋子
2025.10.09

賃料相当額の計算方法
 役員や従業員が社宅を利用する場合、原則会社負担の家賃は現物給与となるが、役員については会社が役員から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」)、従業員については会社が従業員から賃貸料相当額の50%以上を受け取っていれば、給与として課税されない。

 役員においては、賃貸料相当額は貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、次のように計算する。なお、貸与する社宅が社会通念上一般に貸与されている社宅と認められない、いわゆる豪華社宅である場合は、通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額になるため、以下の算式は適用されない。
1.小規模な住宅
 小規模な住宅とは、法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132㎡以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99㎡以下(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定する)である住宅をいう。自社所有社宅でも、借上げでも同じ計算方法となる。

 次の(1)から(3)までの合計額が賃貸料相当額になる。
  (1)その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
  (2)12円×{その建物の総床面積(㎡)/3.3㎡}
  (3)その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
2.小規模な住宅以外
 役員に貸与する社宅が小規模住宅に該当しない場合には、自社所有の社宅か、他から借り受けた住宅等を貸与しているのかによって、賃貸料相当額の算出方法が異なる。
(1)自社所有の社宅の場合
 次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になる。
その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%
(注)法定耐用年数が30年を超える建物は10%を乗じる
その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%
(2)他から借り受けた住宅等を貸与する場合
 会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記「(1)自社所有の社宅の場合」で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になる。

 なお、社宅を従業員に貸与する場合は、上記「1.小規模な住宅」の場合と同一の計算により算出した賃貸料相当額の50%以上の家賃を自己負担分として会社が受け取っていれば、給与として課税されない。
給与として課税される場合
 役員、従業員に無償で社宅が貸与される場合は、賃貸料相当額が給与として課税される。

 賃貸料相当額より低い家賃を会社が受け取っている場合には、賃貸料相当額との差額が給与として課税される(ただし従業員については、賃料相当額の50%以上の家賃を会社が受け取っている場合は課税なし)。

 また、現金で支給される住宅手当や入居者が直接賃貸契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められず、給与として課税されるので注意が必要である。
参照:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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