がん治療と仕事の両立支援
2025.05.29
皆さんは「がん治療と仕事の両立支援」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか? がんの罹患者数が増え続ける日本においては、がん患者さんの3人に1人以上が20代から60代でがんに罹患している(*1)というデータがあります。
実は今、仕事をしながら通院によるがん治療を行っているがん患者さんが急増しています。
実は今、仕事をしながら通院によるがん治療を行っているがん患者さんが急増しています。
(*1):
厚生労働省 「令和3年 全国がん登録罹患数・率報告」
入院が短くなった理由
昨今、入院が短くなってきていることは実感されていると思いますが、なぜ入院が短くなってきているのでしょうか?
実際に一般病床の平均在院日数(平均入院日数)を見てみると、1987年(昭和62年)に39.6日(*2)だったものが2021年(令和3年)には16.1日(*3)と半分以下になっています。
実際に一般病床の平均在院日数(平均入院日数)を見てみると、1987年(昭和62年)に39.6日(*2)だったものが2021年(令和3年)には16.1日(*3)と半分以下になっています。
(*2):
厚生労働省 平成10(1998)年 医療施設(動態)調査・病院報告
(*3):
厚生労働省 令和3(2021)年 医療施設(動態)調査・病院報告
この質問をすると多くの方が、「医療技術が進歩したから。」とお答えになります。
もちろんそれも間違いではありません。実際に従来から行われている開腹手術よりも体への負担の少ない内視鏡による手術や、腹腔鏡手術・胸腔鏡手術なども行われるようになりましたし、入院を伴わない日帰り手術も頻繁に行われるようになってきています。
こうしたことも入院短期化の1つの理由ではあるのですが、でも理由はそれだけではありません。
2008年よりスタートした政府による医療費適正化政策が、入院短期化のもう1つの理由です。政府は成人病対策とともに平均在院日数の短期化を、この政策の柱としていました。入院や手術等の治療を担当する大病院と入院前後の治療等を担当する地域の中小病院や診療所(クリニック)など、医療機関ごとの役割を明確にし、機能分化を行いました。
その結果、完治するまで入院をして治療を続ける従来型の治療方法から、完治する前に退院し、その後、通院により完治を目指す新たな治療方法が定着することになりました。
がんに関するデータを確認しても、主ながんの平均在院日数が非常に短くなってきていることがわかります。(*4)
もちろんそれも間違いではありません。実際に従来から行われている開腹手術よりも体への負担の少ない内視鏡による手術や、腹腔鏡手術・胸腔鏡手術なども行われるようになりましたし、入院を伴わない日帰り手術も頻繁に行われるようになってきています。
こうしたことも入院短期化の1つの理由ではあるのですが、でも理由はそれだけではありません。
2008年よりスタートした政府による医療費適正化政策が、入院短期化のもう1つの理由です。政府は成人病対策とともに平均在院日数の短期化を、この政策の柱としていました。入院や手術等の治療を担当する大病院と入院前後の治療等を担当する地域の中小病院や診療所(クリニック)など、医療機関ごとの役割を明確にし、機能分化を行いました。
その結果、完治するまで入院をして治療を続ける従来型の治療方法から、完治する前に退院し、その後、通院により完治を目指す新たな治療方法が定着することになりました。
がんに関するデータを確認しても、主ながんの平均在院日数が非常に短くなってきていることがわかります。(*4)
がん全体:14.4日(35.8日)
胃がん:14.7日(47.1日)
大腸がん:15.3日(40.0日)
肝臓がん:13.6日(38.4日)
肺がん:14.1日(50.1日)
乳がん:9.4日(データなし)
胃がん:14.7日(47.1日)
大腸がん:15.3日(40.0日)
肝臓がん:13.6日(38.4日)
肺がん:14.1日(50.1日)
乳がん:9.4日(データなし)
(*4):
厚生労働省 令和5(2023)年患者調査/平成8(1996)年患者調査
*
( )内は、平成8年9月1日から30日の間に退院した患者さんの平均在院日数
通院治療の重要性
平均在院日数は政府により政策的に短期化されてきていることから、今後もさらに短くなることはあっても長くなることはないと思われます。
もちろん在院日数が短くなることは悪いことではないのですが、結果として、通院でがんの治療をしながら仕事を続けていらっしゃる方が増えてきています。
現在、がんの治療をしながら仕事を続けていらっしゃる患者さんは、男性が約18.6万人、女性が約26.2万人、合計で約44.8万人もいらっしゃいます。(*5)
もちろん在院日数が短くなることは悪いことではないのですが、結果として、通院でがんの治療をしながら仕事を続けていらっしゃる方が増えてきています。
現在、がんの治療をしながら仕事を続けていらっしゃる患者さんは、男性が約18.6万人、女性が約26.2万人、合計で約44.8万人もいらっしゃいます。(*5)
(*5):
厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」をもとに同省健康局にて特別集計した資料
40代になると女性を中心にがんの治療をしながら仕事を行っている方が急増し、定年の延長等にともない、今後さらにこうした傾向が堅調になると考えられます。
こうした状況の中、がん治療と仕事の両立支援が非常に重要になってきています。
こうした状況の中、がん治療と仕事の両立支援が非常に重要になってきています。

高橋 義人(たかはし・よしひと)
株式会社M&Fパートナーズ 代表取締役
一般社団法人 健康事業支援機構 医療コーディネーター
ユニバーサルライフ株式会社 執行役員 東京第2支社長
1988年明治大学卒業後、外資系大手生命保険会社に23年間勤務。静岡・埼玉・大阪にて支社長を務め、2011年に独立。
その後、「がん治療とお金」のコンサルティング会社を設立し、現在に至る。
医療コーディネーターとしてがん患者と向き合い、患者目線に立った治療に関する情報提供・病院紹介・治療紹介・病院へのアテンド等の患者支援活動の傍ら、セミナー講師としてがん患者の目線に立ったがんに関する様々な講演を、日本全国で毎年150回以上行っている。
ホームページ https://mfpartners.co.jp
一般社団法人 健康事業支援機構 医療コーディネーター
ユニバーサルライフ株式会社 執行役員 東京第2支社長
1988年明治大学卒業後、外資系大手生命保険会社に23年間勤務。静岡・埼玉・大阪にて支社長を務め、2011年に独立。
その後、「がん治療とお金」のコンサルティング会社を設立し、現在に至る。
医療コーディネーターとしてがん患者と向き合い、患者目線に立った治療に関する情報提供・病院紹介・治療紹介・病院へのアテンド等の患者支援活動の傍ら、セミナー講師としてがん患者の目線に立ったがんに関する様々な講演を、日本全国で毎年150回以上行っている。
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