職場の飲み会実施率、前回調査(2017年)より大幅減少

庄司 英尚
2025.08.04

職場の飲み会は「気を使い、くつろげない」
 株式会社リクルートの外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」は、首都圏・関西圏・東海圏で職場の飲み会に対する期待と参加実態等についてアンケートを実施し、就業者による回答について集計し、その結果を5月29日に公表した。同機関では2017年にも同様の調査を行っているので、前回結果と比較しながら紹介しよう。

 職場の飲み会に対するイメージは、ポジティブなものが多いのか、それともネガティブなものが多いのか、前回と今回でどのように結果が変化したかを見ると、職場の飲み会のポジティブなイメージとしては「普段会話しない人と会話できる」が最多回答で前回36.2%から今回30.4%に、次いで「上司、同僚、部下の人物理解が進む」(28.2%→25.2%)、3番目が「おいしいものが食べられる」(26.5%→24.6%)というように上位3項目はじめほとんどの項目でポジティブなイメージの回答率が後退していた。

 一方、ネガティブなイメージの上位3項目を見てみると、「気を使い、くつろげない」が最多で前回36.4%から今回36.3%に、「かえってストレスがたまる」(28.5%→29.2%)、「プライベートな時間が削られる」(25.7%→28.5%)というようにネガティブなイメージの回答率は横ばいないしは漸増傾向を示した。

 これを性別・年代別で見てみると、20~50代女性はネガティブなイメージの項目の多くで数値が高く、男性に比べ女性のほうがややネガティブなイメージが優勢していることがわかった。このような調査結果を受けて、今後の職場の飲み会のあるべき姿について会社は冷静になって考えるきっかけにしてみてもいいのではないだろうか。

 就業状況別で見てみると、「正規雇用・契約・役員以上」ではポジティブなイメージが優勢だったのに対し、「派遣・パート・アルバイト」「自営・業務委託・その他」ではネガティブなイメージが優勢だった。
職場の飲み会に期待すること「コミュニケーションの場」
 過去1年以内に行われた職場の飲み会のトップ3は、「忘年会」が最多で前回60.6%から今回35.3%に、「送別会」(36.0%→22.9%)、「歓迎会」(35.1%→22.0%)といずれの実施率も今回大幅に減少している。何らかの職場の飲み会という括りで見ても、実施率は前回75.0%から今回59.9%に大幅減少しているのも注目すべきところである。

 しかし今回の調査結果において、職場の飲み会の「いずれかの会に参加した」人は全就業者中の52.6%に留まったのに対し、何かしら職場の飲み会があった人に限ると出席率は87.9%と高止まり状態を維持しており、コロナ禍が起こる前の2017年(前回調査時)に比べて職場の飲み会の実施が大きく減少したにもかかわらず出席率に限って見てみると一概には減少していないことは理解しておきたい。

 職場の飲み会に期待することは、最多の「コミュニケーションの場」が前回51.0%から今回40.3%に10ポイント以上減少している。次いで多かった「個人では行けないような店、料理を味わう」(28.9%→26.4%)も減少しているのに対し、「期待することはない」は前回23.8%から今回33.1%へと増加傾向を示していることから、職場の飲み会について消極的な考え方をする人は今後増えていくかもしれない。

 職場の飲み会の開催頻度や企画内容、お店選びなどついては今後見直したり工夫する必要がある職場もあるかもしれない。特にネガティブなイメージの回答項目については真摯に事実を受け止め、何らか変えていこうという試みはあってほしいところである。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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