少額減価償却資産の特例、資本金1億円以下でも要注意

木下 洋子
2025.08.07

 少額減価償却資産の特例は、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産(以下「少額減価償却資産」という)を取得した場合、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができる制度である。

 上場企業が減資して資本金1億円以下の税務上の中小法人になるなど、資本金の額が必ずしも企業規模を反映しているとは限らない。そのため、特例には資本金1億円以下の中小企業者等という他、細かい要件が付されているので注意が必要である。
特例の対象となる法人
 この特例の対象となる法人は、中小企業者または農業協同組合等で、青色申告書を提出するもの(通算法人を除く)のうち、常時使用する従業員の数が500人以下(投資法人等の特定法人については300人以下)の法人(以下「中小企業者等」という)に限られる。

 中小企業者等は、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人で一定のものであるが、次のものは除かれる。
(1)
その発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(資本金1億円超、従業員1000人超、大法人の完全子会社等のいずれかに該当)に所有されている
(2)
上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人
(3)
連結法人(連結納税の承認を受けた法人)
 また、資本金等の要件の他に、所得規模による制限もある。

 基準年度(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度をいう)の所得金額の合計額を各基準年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額が15億円を超える法人も特例の適用除外となる。

 本特例において、資本金1億円以下の法人であるか等の、中小企業者等に該当するかどうかの判定は、原則として、少額減価償却資産の取得などをした日および少額減価償却資産を事業の用に供した日の現況によるものとされる。ただし、常時使用する従業員の数が500人以下であるかの判定については、原則としては少額減価償却資産を取得した日および事業の用に供した日の現況で判断するが、事務負担を考慮して、事業年度終了の日の現況で判断することができるとしている。
適用の対象となる資産
 取得価額が30万円未満の減価償却資産がこの特例の対象となる。

 器具および備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象となる。また、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産であっても対象となる。

 ただし、適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円(事業年度が1年に満たない場合には300万円を12で除し、これにその事業年度の月数を掛けた金額)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額が限度となる。

 なお、令和4年4月1日以後に取得などする場合は、少額減価償却資産から貸付け(主要な事業として行われるものは除く)の用に供したものが除かれる。

 この特例の適用期限は令和8年3月31日まで。適用要件に注意しつつ、有効活用されたい。
参照:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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