スポットワークの労務管理において留意すべき事項
2025.09.01
7月に厚生労働省がリーフレット公表
急に人手が欲しいときなどに利用する「スポットワーク※1」。最近は利用する企業や店舗が増えているが、求人した事業主がその仕組みを理解できていなかったことから、スポットワーカーとトラブルになったという話をよく聞くことがある。今年7月に厚生労働省は、スポットワーク※2における留意事項等をとりまとめたリーフレットを作成し、公表するとともに関係団体等にその周知等を要請した。
今回は特に使用者向けにまとめてあるリーフレットを参考にしながら、労務管理上の注意点をまとめていくこととする。
今回は特に使用者向けにまとめてあるリーフレットを参考にしながら、労務管理上の注意点をまとめていくこととする。
※1
短時間・単発の就労を内容とする雇用契約のもとで働くこと。スポットワークで働く労働者のことをスポットワーカーという。
※2
ここでは、スポットワークの雇用仲介を行う事業者が提供する雇用仲介アプリを利用してマッチングや賃金の立替払を行うものを対象としている。
事業主はスポットワーカーを直接雇用している
まず一番肝心な労働契約についてだが、スポットワークは、事業主とスポットワーカーが直接労働契約を締結することになる。スポットワーク仲介事業者による派遣と勘違いしている人もいるようだが、直接雇用するわけなので、労働基準法等を守る義務は、労働契約を締結した事業主にあるのでそこは自覚してほしい。
スポットワークでは、アプリを用いて、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募し、面接等を経ることなく、短時間にその求人と応募がマッチングすることが一般的だ。
先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立するものと考えられている。これを労働契約成立後に事業主側が解約(キャンセル)しようとすることはできず、一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、労働条件の変更に該当し、事業主とスポットワーカー双方の合意が必要である。
スポットワークでは、アプリを用いて、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募し、面接等を経ることなく、短時間にその求人と応募がマッチングすることが一般的だ。
先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立するものと考えられている。これを労働契約成立後に事業主側が解約(キャンセル)しようとすることはできず、一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、労働条件の変更に該当し、事業主とスポットワーカー双方の合意が必要である。
労働条件通知書を交付する義務があるのは事業主
労働契約が成立すると今度は、事業主が予定された就業開始前に労働条件を明示することが必要となる。労働条件通知書の交付はスポットワーク仲介事業者が代行してくれる場合もあるが、交付するのは事業主の義務である。その内容は適切か、事業主は確実に確認しないといけないし、もしスポットワーク仲介事業者から交付されていない場合、事業主からただちに交付するように厚労省のリーフレットでは案内をしている。
同リーフレットによると、たとえば労働契約成立後に事業主の都合で丸1日の休業または仕事の早上がりをさせることになった場合は、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」となるので、スポットワーカーに対し、所定支払日までに休業手当を支払う必要がある。
またスポットワーカーが通勤の途中または仕事中にケガをした場合、スポットワーカーは就労先の事業について成立する保険関係に基づき労災保険給付を受けることになるし、スポットワーカーに対するパワハラやセクハラ防止のための労働施策総合推進法等に基づく各種措置(相談窓口や行為者に対する措置内容の周知等)も事業主が講じないといけない。
とにかくスポットワーカーとのトラブル回避のためには、事業主が直接雇用しているという責任と自覚を強く持って、スポットワーカーも通常のパートやアルバイト等と同じように労務管理を適切に行っていくことが重要ではないかと思われる。
同リーフレットによると、たとえば労働契約成立後に事業主の都合で丸1日の休業または仕事の早上がりをさせることになった場合は、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」となるので、スポットワーカーに対し、所定支払日までに休業手当を支払う必要がある。
またスポットワーカーが通勤の途中または仕事中にケガをした場合、スポットワーカーは就労先の事業について成立する保険関係に基づき労災保険給付を受けることになるし、スポットワーカーに対するパワハラやセクハラ防止のための労働施策総合推進法等に基づく各種措置(相談窓口や行為者に対する措置内容の周知等)も事業主が講じないといけない。
とにかくスポットワーカーとのトラブル回避のためには、事業主が直接雇用しているという責任と自覚を強く持って、スポットワーカーも通常のパートやアルバイト等と同じように労務管理を適切に行っていくことが重要ではないかと思われる。

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/