トランプ関税発動! 私たちの生活への影響は?

飯田 道子
2025.09.08

 ご存知の方も多いと思いますが、2025年8月7日から、アメリカによる日本製品への15%関税が正式に発動されました。いわゆるトランプ関税と言われているものなのですが、私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか?
アメリカへの郵送物が一部引受け停止に!
 日本とアメリカは、個人生活はもとよりビジネス面でも関わりが深い国同士なのですが、トランプ関税を受けて日米間の郵便にも影響が出ています。日本郵便によれば、アメリカ宛の郵便物の一部を2025年8月27日から引き受けの一時停止をすると発表しました。

 対象となる郵便物(小形包装物、小包およびEMS(物品))は下記2点です。
 ・個人間の贈答品で内容品価格が100USドルを超えるもの
 ・消費を目的とする販売品

 つまり内容品価格が100USドル以下の郵便物であれば、これまでどおり引き受けてもらえますので利用は可能です。100USドルを超えるときには、米国税関の規制に対応した日本郵便の国際宅配便UGX(ゆうグローバルエクスプレス)を利用することができますが、コスト高になるのは明らかです。

 例えばUGXでアメリカに最低運賃で郵送(500グラムまで)する場合、運賃6,900円に緊急追加手数料3,300円(※)が加算され、料金は10,200円かかります。
緊急追加手数料は10月1日に改定され、例えば米国およびカナダに0kg - 5kgの物を送る場合、3,300円から5,500円に値上げされます。
課税対象商品や製品にはどのようなものがあるの?
 日本からアメリカに輸出する際、関税の対象となっている商品・製品はいろいろありますが、特に日本人である私たちの生活に大きく影響を与えることが予想されているものは、アメリカの日本からの輸入品目で上位を占める自動車や自動車部品、建機(ブルドーザーなどの建設機器)、医療品や医薬品などです。

 自動車については、トランプ政権によって今年4月より27.5%に関税が引き上げられ、8月7日以降もそのままでしたが、トランプ大統領が自動車関税の引下げなどに関する大統領令に署名したことから、9月4日、ワシントンで会見した赤沢亮正経済再生担当相は、自動車関税の引下げ時期について「最大2週間後までに発効するだろう」との見方を示しています。
知っておきたい日本政府が行う緊急パッケージ
 経済的な不安を感じている人は多いと思いますが、トランプ関税に対して政府は対応策(「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」における支援について)を発表しています。

 事業者に寄り添うための①特別相談窓口の設置、②資金繰り支援、③経営課題への伴走支援、④雇用維持への支援、⑤電気・ガス料金支援とガソリン等の価格抑制、⑥中小企業向け補助金の優先採択を行うことになっています。

 特に身近な対応策である電気・ガス代は標準家庭で3,000円程度(7~9月合計)を引き下げることになっており、ガソリン・軽油はリッターあたり定額10円(石油等は定額5円)の価格引き下げになります。

 今後、どのような影響が生じるのか分からない状況ではありますが、政府の対応策にも目を向けながら、家計を引き締める必要があるかもしれません。
本稿の内容は、2025年9月5日時点のものです。日米間の関税等に変更が生じる可能性がありますので最新の情報をご確認ください。
参照:
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP®

 金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
 海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。

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