乳がん治療の新たな選択肢

高橋 義人
2025.10.30

毎年9万人以上の方が乳がんに……
 皆さんご存じの通り、女性が最もたくさん罹患するがんは乳がんで、2016年以降、日本では毎年9万人以上の方が乳がんの告知を受けています。
※参考:
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
 転移のない状態で見つかった場合、乳がん治療では手術を提案されることが多いのですが、患者さんとお話をしてみると多くの方が「乳房にメスを入れることには抵抗がある。」とおっしゃいます。

 しかし他に治療の選択肢もないため、「受け入れざるを得ない。」とお考えになる方が多いようです。
切らない乳がん治療とは!?
 そうした乳がん患者さんに朗報です。実は2023年12月15日、早期乳がんに対するラジオ波焼灼法が保険適用となりました。

 ラジオ波焼灼法とは、がんの中に細い針状の電極を刺し高周波のラジオ波を流すことにより、発生する熱を利用してがんを焼灼(焼く)する治療方法です。

 これまでも肝がん・肺がん・腎がん等へのラジオ波焼灼法が保険適用となっておりましたが、そこに乳がんが加わりました。

 早期乳がんの治療法にラジオ波焼灼法が加わったことにより、今では「切らない乳がん治療」を受けることも可能になっています。

 しかしすべての乳がん患者さんがこの治療を受けられるわけではありません。この治療を受けるためには、条件が2つあります。

 1つ目の条件は、1.5cmまでの早期乳がんの患者さんであること。2つ目の条件は、乳がんのラジオ波焼灼法を行うことが出来る医師のいる病院で治療を受けるということです。
 2025年9月26日現在、全国129の医療機関で乳がんのラジオ波焼灼法の治療を受けることが出来るようになっています。

 切らない乳がん治療が保険適用になったということは、女性の方にとって非常にありがたい情報なのだと思いますが、ここで保険募集人の皆さんに質問です!

 皆さんのお客様はこの情報をご存じでしょうか?
 多くのお客様は、まだこの情報をご存じありません。

 お会いするお客様に、この情報をお伝えする場合、ポイントは2つになります。

 1つ目のポイントは、1.5cm以下の早期乳がんのみが保険適用の対象となるということです。

 現在では早期発見できたがんの一部は克服できるようになっています。この治療法をご紹介する際に、早期発見の重要性、またそのためのがん検診の重要性についてもお話をしてください。

 2つ目のポイントは、どこの医療機関でこの治療が行われているかをお伝えすることです。医療機関については、本乳癌学会のホームページやネットでも確認ができます。

 ただしお伝えする際には、「この治療が手術よりも良い!」というような伝え方にならないように気をつけてください。あくまでも、「乳がん治療の新たな選択肢」という伝え方をしていただきたいと思います。

 がんは子宮頸がんと胃がんと肝がんの一部を除いて、まだ原因のわからない病気です。
 そのため、これからも新しい治療方法が開発されると思います。必ずしも新しい治療方法が最善の治療方法とは限りませんが、お客様が納得した治療を受けることが出来るよう、これからも治療に関する情報提供を行っていただきたいと思います。

 今回は新たに保険適用となった「乳がんのラジオ波焼灼法」について、お話をさせていただきました。
参考:
高橋 義人(たかはし・よしひと)
株式会社M&Fパートナーズ 代表取締役
一般社団法人 健康事業支援機構 医療コーディネーター
ユニバーサルライフ株式会社 執行役員 東京第2支社長

1988年明治大学卒業後、外資系大手生命保険会社に23年間勤務。静岡・埼玉・大阪にて支社長を務め、2011年に独立。
その後、「がん治療とお金」のコンサルティング会社を設立し、現在に至る。
医療コーディネーターとしてがん患者と向き合い、患者目線に立った治療に関する情報提供・病院紹介・治療紹介・病院へのアテンド等の患者支援活動の傍ら、セミナー講師としてがん患者の目線に立ったがんに関する様々な講演を、日本全国で毎年150回以上行っている。
ホームページ https://mfpartners.co.jp

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