ミドル世代の転職理由、「会社の考え・風土に違和感」がトップ

庄司 英尚
2025.09.22

35歳転職限界説は壊滅、ミドル世代転職は当たり前の時代に
 エン・ジャパン株式会社は、運営しているミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』上で、同サイトを利用している35歳以上のユーザーを対象に「転職理由」についてアンケート調査を行い、2,092名の回答をもとに今年7月にその結果を発表した。

 ミドル世代に転職を考えたきっかけを伺うと、30~50代のいずれも「会社の考え・風土に違和感を覚えた」(30代48%、40代52%、50代49%)が最多、第2位はいずれの世代も「業界・会社の将来性に不安を感じた」となった。

 一昔前は「35歳転職限界説」が叫ばれていた時代もあったが、慢性的人手不足の今では35歳以上の転職者は増加しており、ミドル世代の転職は当たり前の時代になった。ミドル世代を中途採用していきたい企業にとっては、このような採用候補者の考え方などを理解したうえで採用戦略に活かしてほしい。
30代と40代が転職で最も実現したいこと、「給与・待遇のアップ」
 転職で最も実現したいことを伺ったところ、トップ3は「給与・待遇のアップ」(27%)、「経験・能力が活かせるポジションへの転職」(24%)、「やりたい仕事ができる環境での就業」(12%)となった。

 年代別でみると、30代と40代は「給与・待遇のアップ」(30代37%、40代31%)、50代は「経験・能力が活かせるポジションへの転職」(26%)が最多となっており、年代により違いが少しだけあった。

 「経験・能力が活かせるポジションへの転職」と回答した50代の方の具体的な理由を見ると、「かなり専門性の高い分野の仕事を経験してきたので、せっかくなら活かしたい。」というコメントがあり、その気持ちはミドル転職者ならではの代表的な意見と思われるが、実際には希望どおりの異動が実現するとは限らないので転職を支援するエージェントなどの役割は大きいと思われる。
30・40代は50代よりも「自分の市場価値」に不安を感じている
 転職を考える上で不安に感じることを伺うと、30代と40代は「これまでの経験・スキルが通用するか」(30代50%、40代55%)、50代は「年齢について」(58%)がそれぞれ最多であった。また全体では4位の「自分の市場価値」については30代47%、40代45%に対し、50代36%と低くなっており、30・40代は50代と比べて自身に対する他者評価についてかなり不安を感じていることが読み取れる。

 ミドル世代の転職は人生においての大事な決断となる。ミドル世代を中途採用したいと気合いを入れて頑張っていたら自社のミドル世代の優秀な社員が転職してしまったという笑うに笑えない話にならないように、離職予防にも同じように力を入れていかなければならないであろう。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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