年次有給休暇管理簿の作成義務と作成方法
2025.10.20
中小企業や零細企業にも義務化されている
年次有給休暇に関して押さえておかなければならないのは、2019年4月施行の改正労働基準法により、事業主に対し「年次有給休暇の年5日付与」(※)が義務化されたことであるが、これに伴って、事業主には年次有給休暇管理簿の作成・保存も義務化されたことも忘れてはならない。
※
年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させなければならない。
年次有給休暇管理簿とは、年次有給休暇の取得状況を把握するために、会社が作成・保管する帳簿である。中小企業及び零細企業にも大手企業と同じように義務化されているが、中には適切に年次有給休暇管理簿を作成できていない会社もあると思われるので、今回は同管理簿の作成に関する情報をお届けする。
労働局のWebサイトにあるテンプレートが役立つ
まず年次有給休暇管理簿については、法律で決まった様式はない。基準日(付与日)、日数、時季(取得日)を管理するための書類であり、この3つが記載されていればいい。同管理簿は労働者ごとに作成し、当該年次有給休暇を与えた期間が満了後も5年間(当面は3年間)は保存しなければならない。
厚生労働省及び地方労働局のサイトにExcelの作成例(テンプレート)がアップされているのでそれらを活用するのもいいだろう。また、市販の年次有給休暇管理ソフトには、勤怠管理とセットになっているもの、年次有給休暇の管理に特化したものなどがある。複雑で手間のかかる年次有給休暇の計算・付与や残日数の管理を正しく設定すれば自動で行ってくれる点は便利であり、年休5日の取得義務を満たしていない人へのアラート設定ができるものもあるので市販品を検討するのもいいだろう。年次有給休暇管理簿の作成は、年次有給休暇の取得促進と企業側のリスクを軽減することが目的でもあるので、使いやすいかどうかが重要なポイントである。
厚生労働省及び地方労働局のサイトにExcelの作成例(テンプレート)がアップされているのでそれらを活用するのもいいだろう。また、市販の年次有給休暇管理ソフトには、勤怠管理とセットになっているもの、年次有給休暇の管理に特化したものなどがある。複雑で手間のかかる年次有給休暇の計算・付与や残日数の管理を正しく設定すれば自動で行ってくれる点は便利であり、年休5日の取得義務を満たしていない人へのアラート設定ができるものもあるので市販品を検討するのもいいだろう。年次有給休暇管理簿の作成は、年次有給休暇の取得促進と企業側のリスクを軽減することが目的でもあるので、使いやすいかどうかが重要なポイントである。
必要なときにすぐに出力できるようになっていればいい
年次有給休暇管理簿を作成していない場合、法律上の罰則はないが、年次有給休暇の取得義務に違反する場合は労働者1人につき30万円以下の罰金が科されることがあるので、年次有給休暇の取得状況を確実に管理し、運用することが大事である。なお、年次有給休暇管理簿については必要なときにいつでもすぐに出力できる仕組みになっていれば、紙、Excelデータ、システム上など保存方法は問わない。
労働者ごとに作成することになるのでデータも膨大となり、管理するにしても手間がかかり人為的なミスが発生しやすいことから、労働者とトラブルになる恐れがある業務でもある。年次有給休暇管理簿の管理・運用を軽視せず、これを機会に再度自社の状況を細かくチェックしてみてはいかがだろうか。
労働者ごとに作成することになるのでデータも膨大となり、管理するにしても手間がかかり人為的なミスが発生しやすいことから、労働者とトラブルになる恐れがある業務でもある。年次有給休暇管理簿の管理・運用を軽視せず、これを機会に再度自社の状況を細かくチェックしてみてはいかがだろうか。

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/