令和7年9月決算から適用される消費税改正

村田 直
2025.12.18

令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用
 年末になると、来年度の税制改正の行方が気になるところではあるが、足元の決算で適用される新たな改正についても、漏れのないように確認しておきたい。

 今回は令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用される、主な消費税法の改正についてまとめておきたい。令和6年10月1日以後に開始する課税期間というのは、通常の1年事業年度法人の令和7年9月決算に該当する。
免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の適用に制限
 免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者(以下、「免税事業者等」)から行う仕入れであっても、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行うもので一定の帳簿等を保存している場合には、仕入税額相当額の一定割合(80%・50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置(以下「経過措置(80%控除・50%控除)」)が設けられている。

 今回の改正により、一の免税事業者等から行う経過措置(80%控除・50%控除)の対象となる課税仕入れの合計額(税込金額)がその年又は事業年度で10億円を超える場合には、その超えた部分の課税仕入れについて、経過措置(80%控除・50%控除)の適用を受けることができないこととされた。
国外事業者、特定期間の課税売上高による納税義務の免除特例を見直し
 基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、消費税の納税義務が免除されないこととされているが、この特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額によることもできることとされている。

 今回の改正により、国外事業者については、「特定期間」における1,000万円の判定を、給与等支払額の合計額により行うことはできないこととされた。このため、国外事業者においては、「特定期間」における課税売上高が1,000万円を超える場合、給与等支払額の合計額にかかわらず、納税義務は免除されないこととなる。
特定新規設立法人の納税義務の免除特例は金額基準を見直し
 その事業年度の基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の法人(新規設立法人)のうち、次の(1)、(2)のいずれにも該当するもの(特定新規設立法人)については、その特定新規設立法人の基準期間のない事業年度に含まれる各課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されないこととされている。
(1)
その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者によりその新規設立法人の株式等の50%超を直接又は間接に保有される場合など、他の者によりその新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること
(2)
上記(1)の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及びその他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)について、その新規設立法人のその事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)において、(国内における)課税売上高が5億円を超えていること
 今回の改正により、上記(2)の要件について、「判定対象者」の「基準期間相当期間」における課税売上高が5億円を超える場合又は売上金額、収入金額その他の収益の額の合計額が、国外におけるものも含め50億円を超える場合とされた。
外国法人が国内で事業開始した場合の納税義務の免除特例を見直し
 その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人は、その事業年度に含まれる各課税期間の納税義務が免除されない。また、資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満であっても、その事業年度開始の日において特定新規設立法人の要件を満たす法人は、その各課税期間の納税義務が免除されない。

 今回の改正により、その事業年度の基準期間がある外国法人が、その基準期間の末日の翌日以後に、国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した場合には、その事業年度は基準期間がないものとみなすこととされた。

 このため、その事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である場合並びに資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満であって、特定新規設立法人の要件を満たす場合は、その事業年度に含まれる各課税期間の納税義務が免除されないこととされた。
恒久的施設のない国外事業者は簡易課税制度及び2割特例の適用を見直し
 その課税期間の初日において恒久的施設(PE)を有しない国外事業者は、簡易課税制度及び適格請求書発行事業者となる小規模事業者に対する税額控除に関する負担軽減措置(2割特例)の適用を受けられないこととされた。

 今回ご紹介した改正は、一般的な法人に日常的に適用される改正ではないかもしれないが、当てはまった場合には、その影響が大きいものもあるため、該当しそうな場合は改めて確認しておくことをおすすめする。
参考:
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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