採用と定着率の向上を目的に半数近くが福利厚生を充実

庄司 英尚
2026.01.19

4社に1社は内容と金額の両方を充実させる予定
 帝国データバンクの「福利厚生に関する企業の実態調査」(2025年10月発表)によると、「今後、法定福利を除く福利厚生を充実させる予定があるか」という質問に対し、「内容を充実させる予定」の企業は17.4%、「金額を充実させる予定」の企業は4.6%、「内容・金額の両方を充実させる予定」の企業は25.6%であった。これらを合計した「福利厚生を充実させる予定」の企業は47.6%となり、約5割となった。
中小企業は資金面が課題、簡単には充実させられない
 「福利厚生を充実させる予定」の企業を規模別にみると、「大企業」は57.9%と全体(47.6%)より10.3ポイント上回っているが、一方で「中小企業」は45.8%、中小企業のうちの「小規模企業」は38.5%となり、企業規模が小さいほど充実を予定している企業の割合が低くなる傾向がみられた。中小零細企業にとっては資金面がネックとなり、なかなか福利厚生を充実させられない状況が窺われた。

 「福利厚生を充実させる予定」の企業を業界別にみると、2024年問題をはじめ人手不足が深刻化している「建設」は58.7%、「運輸・倉庫」は55.1%、「農・林・水産」は52.7%となった。企業側のコメントとして気になるところとしては、「人員不足の今、社員のみならずその家族も入れた補助に力を入れたい」(建設)や「社員のエンゲージメント向上、採用対策にとって福利厚生の充実は重要と考える」(運輸・倉庫)といった人手不足が深刻な現状を何とかしたいという意識が窺われた。
今後取り入れたい福利厚生は「社員旅行」「フレックスタイム」
 今後取り入れたい福利厚生(法定福利を除く)については、「社員旅行の実施・補助」と「フレックスタイム」がともにトップで11.4%であった。次いで「人間ドック」の11.3%、「育児・介護に関する補助(法定以上)」の11.1%が続いている。

 「社員旅行の実施・補助」を取り入れたい企業からは、「コロナ禍の影響でレクリエーション関連活動を長期的に行っておらず、社員同士の交流の場が失われつつある」(機械製造)との声もあがっており、「働く環境」や「人間関係」を重視する傾向を背景に、社員旅行が再び注目されているとみられる。

 帝国データバンクは調査結果のまとめの中で、「若年層を中心に『働き方の多様化』や『ワークライフバランス』といった観点から、福利厚生の充実を企業選びの重要な基準とする傾向が強まっている」と指摘している。慢性人手不足のこの時代、企業にとって福利厚生の充実は今後ますます重要な意味を持つことから、経営者は同調査結果を参考に自社の福利厚生の充実度を確認してみてはいかがだろうか。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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