労働時間を「増やしたい」人は約1割

庄司 英尚
2026.04.20

労働時間はこのままで良いが約6割占める
 厚生労働省は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」施行から5年を経た現状を把握するため、労働者を対象とするアンケート調査と、企業・労働者それぞれを対象とするヒアリング調査を実施し、その結果を取りまとめて、「働き方改革関連法施行後5年の総点検」として令和8年3月5日に公表した。

 これは、令和7年に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025改訂版」等に基づき、働き方の実態とニーズを把握することを目的とした調査である。

 調査結果によると、労働者に労働時間の増減希望状況について尋ねたところ、労働時間を増やしたい者は約10.5%となり、このままでよい者は約59.5%、減らしたい者は約30.0%という結果となった。
労働時間を増やしたい理由のトップは「たくさん稼ぎたいから」
 労働時間を増やしたいと答えた人にその理由を質問したところ、トップ5は下表のとおりとなった。
順位 増やしたい理由 割合
1位 たくさん稼ぎたいから(3位の理由を除く) 41.6%
2位 自分のペースで仕事をしたいから 19.7%
3位 所定労働時間以外の労働分の収入(残業代)がないと家計が厳しいから 15.6%
4位 仕事の完成度や業績をより高めたいから 10.2%
5位 会社や社会に貢献したいから 9.8%
「その他」の理由(11.7%)を除外
 なお、労働時間がこのままでよい理由のトップは「自分の仕事と生活のバランスを変えたくないから」(44.3%)、労働時間を減らしたい理由のトップは「自分の時間を持ちたいから」(66.7%)であった。
企業側の労働時間を増やしたい理由のトップは「業務の性質の観点から」
 一方で現状の労働者の労働時間に対する企業の希望は、「現状のままがいい」と回答した企業は61.5%(327社のうちの201社)だった。その理由としては、「現在の業務量との観点から」(178社)、「労働者の健康確保・ワークライフバランスの観点から」(22社)、「人材確保・定着の観点から」(20社)などを挙げていた。「減らしたい」と回答した企業は22.3%(327社のうちの73社)であるのに対し、「増やしたい」と回答した企業はそれより少ない16.2%(327社のうちの53社)だった。増やしたい理由としては、「業務の性質の観点から」(29社)、「受注量を増やす観点から」(9社)、「労働者の希望の観点から」(9社)という回答が上位にならんだ。

 企業に、「労働者側から『労働時間を増やしたい』との声があがることがあるか」を聞いたところ、42.8%(327社のうちの140社)が「あり」、57.2%(327社のうちの187社)が「なし」と回答している。

 企業が把握している労働者が労働時間を増やしたい理由は、「仕事があるのであれば、収入を増やしたい」というのは全世代共通するところだが、若いドライバーから「賃金が歩合制のため、若いうちに稼ぎたいので労働時間を増やしたい」という声がある一方で、子育てが一段落した労働者から「仕送りや老後の貯蓄のため労働時間を増やして稼ぎたい」という声もあり、ライフステージによって考え方に差があることをよく理解しておきたい。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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